同社は、「何がきっかけで、どのような経緯で」付け替え請求が行われるようになったのかについて、「調査中」のため、「申し上げられない」としたが、さくら薬局相馬店での付け替え請求については、「2016年3月からそういう事例があった」と認めた。
不正を行った薬局は、公立相馬総合病院の門前に立地しており、集中率を操作するため、実際に薬を調剤した薬局とは別のグループ内の薬局に、社員やその家族の処方箋を送付し、別の薬局で調剤したように見せかけて不正に保険請求をしていたとみられる。
背景には、いわゆる「大型門前薬局」の報酬引き下げを目的に、2016年度の診療報酬改定で新設された「調剤基本料3」(20点)がある。要件は、「同一法人グループ内の処方箋の合計が月4万回超で、集中率95%超」などとなっており、2016年4月から実施された。処方箋の付け替えは、この条件に当たってしまい、基本料が半額にならないようにするために行われた可能性が高い。
薬局では、2016年3月以降、処方箋の付け替えが行われていたが、クラフトは、「それ以前から不正を行っていた可能性が否定できない」ことや、何枚の処方箋を付け替えていたのか含めて「鋭意、調査を行っている段階」と説明。
本社側から不正への関与があったかどうかについては、「ないと明言できる」とした。
今回の事案については、既に東北厚生局に報告しており、「今後、具体的な指示を仰ぎたい」としている。また、事実関係が明らかになり次第、「再発防止策などを検討していきたい」と語った。
付け替え請求問題をめぐっては、日本薬剤師会、日本保険薬局協会が会員薬局に対して自主点検を実施し、既に不正が発覚しているクオール、アイセイ薬局を除いて不適切事例の報告はなかったとの結果を公表しているが、かえって自主点検の信頼性に疑問符が付く結果となってしまった。