高カルシウム血症クリーゼにより重篤な経過をたどることも
協和発酵キリン株式会社は10月30日、副甲状腺がんおよび副甲状腺摘出術不能または術後再発の原発性副甲状腺機能亢進症における高カルシウム血症を対象とした「KHK7580」(一般名:エボカルセト)の第3相臨床試験を開始したと発表した。
副甲状腺がんおよび原発性副甲状腺機能亢進症(PHPT)は、副甲状腺に発生する腫瘍などから副甲状腺ホルモン(PTH)が自律的に過剰分泌される疾患。PTHの高値によって血清カルシウム濃度が上昇し、高カルシウム血症となる。
副甲状腺がんおよびPHPTの治療の第一選択肢としては、副甲状腺摘出術(PTx)が根治的治療法となるが、合併症などの問題で、PTx不能なPHPTまたはPTx施行後の再発PHPTおよび副甲状腺がんでは、高カルシウム血症のコントロールに難渋するケースがあった。このような高カルシウム血症を呈する患者はまれではあるが、倦怠感、多尿、口渇、腎障害などのさまざまな症状が発現し、高度の場合には高カルシウム血症クリーゼにより重篤な経過をたどることがある。
透析下の二次性副甲状腺機能亢進症では承認申請済み
エボカルセトは、田辺三菱製薬株式会社が創製した低分子化合物で、新規カルシウム受容体作動薬。協和発酵キリンは、2008年3月に田辺三菱製薬より日本ならびにアジアの一部における共同研究・開発・販売および製造権を取得している。2017年4月には、維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症を対象疾患として国内医薬品製造販売承認申請を厚生労働省に行った。
今回開始された試験は、日本で実施されるオープンラベル第3相臨床試験で、同剤を経口投与した際の有効性と安全性を評価するもの。主要項目は、評価期(最大24週間)における血清補正カルシウム濃度が10.3 mg/dL以下に2週間維持された被験者数および被験者割合。
▼関連リンク
・協和発酵キリン株式会社 ニュースリリース