調査は、6年制第6期生を輩出した薬系大学をはじめ、全国の国公私立薬系大学73大学(74学部)から回答を得たもの。6年制卒業生の総数は9633人と昨年に比べて230人増加し、6年制卒業者数としては13年3月卒業者の9491人を超えて最多となった。男女別に見ると、男性が3826人、女性5807人だった。
このうち、大学が進路を把握した就職者は7858人と107人増加したが、就職率で見ると、卒業生の81.6%と昨年に比べてわずかに低下。男性では79.1%と3年連続で8割を切った。
就職しなかった人の総数は1775人で、昨年から123人増加した。そのうち進学者は191人、非就職者と未定の人の合計も1550人と昨年の1445人から増加。就職しなかった人が増え続ける傾向に歯止めがかかっておらず、非就職者と未定者の割合は全体の16%と高止まりが続いている。
また、第102回薬剤師国試の新卒合格率は85.06%とほぼ前年並みとなったが、新卒者の73.2%と約7割しか薬剤師資格を取得していないことが分かった。さらに新卒者のうち、1342人が国試を受験しなかったことも判明。未受験者は昨年の1161人よりも増えている。これらから、新卒者の約27%が薬剤師資格を取得せず、約15%が国試を受験しないという憂慮すべき状況が広がっていることがうかがえた。
6年制卒業生の就職先を見ると、最も多かったのは薬局の3070人で、全体の31.9%を占めた。ドラッグストアなどの一般販売業の825人、卸売販売業の65人を合わせると約4割を占め、前年と同様の傾向だった。次いで多かったのは、国公私立の大学付属病院・一般病院・診療所薬局の2323人(24.1%)となったが、前年度に比べて250人減少した。
さらに有給・無給を含め病院・薬局の研究生となった100人を合わせると6383人となり、6年制学科の卒業生の6割以上が薬剤師免許を生かせる医療関係職に就いたことが分かった。同協議会は、「最近は新卒資格取得者の約9割が薬剤師として働き始めていると思われる」と分析した。
これに対して、医薬品関連企業に就職した人は、「開発・学術」が320人と3.3%にとどまり、「医薬情報担当者」(MR)の336人、「研究・試験・製造」の128人、「その他の職種」の88人を含めても、合計970人と約1割に過ぎなかった。昨年より7人増えたものの、2年続けて1000人を割り、減少傾向が続いていることが分かった。行政への就職者は278人と、昨年とほぼ同数だった。
表:2017年3月 6年制学科卒業生就職状況(薬学教育協議会調査一部改変)
■6年制博士修了の第2期生-教育・研究職が4割で最多
一方、6年制薬学部に併設される4年制学科の大学院博士課程(6+4)を修了した第2期生の進路もまとめた。博士課程を修了した国公立47人、私立54人の合計101人のうち、国公立修了者の76.6%、私立修了者の70.4%は男性で、第1期生と比べてわずかに男性の割合が増加した。
国公立の薬系大学院博士課程修了者の就職動向を見ると、大学の助教など教育・研究職が17人(36.2%)と最も多く、次いで製薬企業の研究・開発職が13人(27.7%)と、これらの就職先が6割以上と大半を占めた。その他、病院薬局・薬剤部が7人(14.9%)、化学メーカーなどの化学・食品等と海外留学者などの非就職者がそれぞれ4人となった。
私立の薬系大学院博士課程修了者では、教育・研究職が22人(40.7%)と最も多い傾向は変わらず、次いで製薬企業の研究・開発職と病院薬局・薬剤部が11人(20.4%)で並んだ。