MAO-B阻害活性を有する抗パーキンソン病薬
武田薬品工業株式会社は10月30日、ラサギリンメシル酸塩(開発コード:TVP-1012)について、レボドパ投与中の日本人のパーキンソン病患者対象のCCT-002試験の結果を発表した。この試験結果は、第11回パーキンソン病・運動障害疾患コングレスで発表された。
ラサギリンは、非可逆的特異的モノアミン酸化酵素B(MAO-B)阻害活性を有する抗パーキンソン病薬。MAO-Bに非可逆的に結合することにより、脳内のドーパミンの分解を抑制し、シナプス間隙中のドーパミン濃度を高めることで、パーキンソン病の症状に有益な効果をもたらすという。同剤はイスラエルのTeva Pharmaceutical Industries Ltd.が開発し、日本では2014年3月に、武田薬品と開発・販売に関する契約を締結した。2017年6月に、厚生労働省へ製造販売承認申請を行っている。
Wearing off現象を伴う日本人パーキンソン病患者404名が対象
CCT-002試験は、Wearing off現象を伴う日本人のパーキンソン病患者404名にレボドパ併用下でラサギリンを投与したときの、有効性および安全性を検討する、臨床第2/3相、プラセボ対照、無作為化、二重盲検、並行群間比較試験。試験期間は観察期2週間および治療期26週間からなり、選択基準を満たし、除外基準に抵触しない被験者を組み入れ、プラセボ群、ラサギリン0.5mg群またはラサギリン1mg群のいずれかに1:1:1の比で無作為割付けした。各投与群には、治療期用治験薬として、それぞれプラセボ、ラサギリン0.5mgまたはラサギリン1mgを1日1回、26週間二重盲検下で投与した。
主要評価項目である治療期の1日あたりの平均オフ時間の観察期終了時からの変化量の調整済み平均値は、プラセボ群で-0.51時間、ラサギリン0.5mg群で-1.11時間、ラサギリン1mg群で-1.35時間であり、ラサギリン0.5mg群または同1mg群は、プラセボ群と比べて統計学的に有意な低下が認められた(それぞれp=0.0140、p=0.0006)。有害事象の発現率はプラセボ群で50.4%、ラサギリン0.5mg群で69.9%、ラサギリン1mg群で73.6%だったという。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース