がん免疫療法の開発を行うブライトパス・バイオ社と
国立がん研究センターとブライトパス・バイオ株式会社は10月27日、ネオアンチゲンワクチンによる完全個別化がん免疫療法の共同研究契約を締結したと発表した。
がん免疫療法の分野では、遺伝子解析技術の飛躍的進歩を背景に、個々の患者の免疫応答、がん細胞、がん組織の環境などの特性を解析したうえで、個々の患者に最適ながん免疫療法を提供する個別化医療の試みが始まっている。
ブライトパスは、がん免疫療法の開発を行う創薬バイオベンチャー。国内ではテーラーメイド投与法を採用した後期臨床試験、米国では免疫チェックポイント阻害剤との併用早期臨床試験と、2つの臨床試験を進めるがんペプチドワクチンをパイプラインとして有する。そのほかにも、iPS細胞技術をがん免疫療法に応用する細胞医薬の開発、免疫制御分子に対する抗体、がん細胞特異的な遺伝子変異に由来するネオアンチゲンを標的とした新薬の開発を行っている。
ネオアンチゲンを迅速に見出す手法の開発目指す
ネオアンチゲンは、がん細胞の遺伝子変異を含む抗原のこと。免疫系は抗原を認識して反応し、がん免疫はがん細胞が提示する抗原を“がんの目印”として起こる。免疫系は正常な「自己」の抗原には反応しないが、ネオアンチゲンは正常な細胞には存在しないため「非自己」として認識され、強い免疫反応の標的となる。がん遺伝子変異は個々の患者で異なり、共通するものはごくわずかなため、患者ごとの個別対応が必要なこともわかってきた。
今回の共同研究は、患者のがん細胞に生じた遺伝子変異の中から、その患者の免疫反応を強く誘導するネオアンチゲンを迅速に見出す手法を開発するもの。個々の患者ごとに異なるネオアンチゲンを標的とした完全個別のがんワクチンの創製を目指すという。
共同研究は、がんペプチドワクチンを中心としたがん免疫療法の研究を推進する国立がん研究センター先端医療開発センターの中面哲也免疫療法開発分野長が中心に進める。さらに、ブライトパスが共同で研究を進めることで、次世代がん治療法となる完全個別化がん免疫療法の臨床応用を目指すとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース