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グリコサミノグリカンがコラーゲン繊維の分解を調節-弘前大

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2017年10月30日 PM01:45

ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、ヘパリンなどGAGに着目

弘前大学は10月26日、酸性条件下で硫酸化グリコサミノグリカンがコラーゲン線維に結合することで、耐酸性コラーゲン線維が形成されることを初めて発見したと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科の多田羅洋太助教、須藤晋一郎助手、伊東健教授のグループによるもの。この研究成果は、「Glycobiology」の Advance articlesで公開されている。


画像はリリースより

健康な骨では骨吸収と骨形成とのバランスがとられて骨量が維持されているが、骨粗しょう症ではそのバランスが壊れ、破骨細胞による骨吸収が亢進するために骨量が減少する。破骨細胞による骨吸収ではまず、破骨細胞から放出されるプロトンにより酸性微小環境が作成。骨組織の65%を占める無機質は、この酸により溶解し骨が脱灰される。骨組織に最も多く存在する有機質はコラーゲン線維だが、破骨細胞から分泌され酸性条件下で活性化したカテプシンKによりコラーゲン線維は分解される。

プロテオグリカンはコラーゲン線維に次いで骨に多く含まれる有機質。(GAG)はプロテオグリカンの糖鎖として存在しており、枝分れのない長鎖多糖で、2糖の繰り返し構造からなる。多数の硫酸基とカルボキシ基を持つために、強く負に帯電する特徴を持つ。代表的なGAGは、ヒアルロン酸やコンドロイチン硫酸、ヘパリンなど。GAGとコラーゲンは骨の主要な成分であるにも関わらず、両者の関係はあまり注目されてこなかった。

GAGの機能をターゲットとした骨粗しょう症治療薬の開発に期待

今回、研究グループは、通常コラーゲン線維は酸性pH下に置くと変性して可溶化するが、GAG存在下ではコラーゲン線維は変性せずに線維構造を保ったままであることを発見。さらにこの耐酸性コラーゲン線維はpH4では分解を受けなかったが、pH5ではコラーゲン分解が促進。この時、GAGはコラーゲン線維に結合したままだったという。

この研究でGAGが酸性条件下でコラーゲンと結合することが示されたことから、GAGがコラーゲン線維の分解を調節する可能性が示された。また、コラーゲン線維分解におけるGAGが担う役割を明らかにすることで、骨吸収におけるコラーゲン線維の分解メカニズムが解明され、GAGの機能をターゲットとした新しい骨粗しょう症治療薬の開発につながることが期待される、と研究グループは述べている。

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