27日に開かれた薬事規制当局サミットシンポジウムで医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事長の近藤達也氏は、同サミットで話し合った結果を発表。イノベーションに関連して「各国で再生医療等製品に関する規制制度の構築が十分でないこともあって、より適切に製品の特徴を反映させるために各国の規制調整の検討を進めることになった」と報告。さらに、「WHO、ICH、IPRFなどの国際的な議論の場を活用して、国際集束活動を進めることが了解された」と話した。
リアルワールドデータ(RWD)の活用も議題になった。RWDの活用目的を明確にすることが強調されたほか、▽RWDをリアルワールドエビデンスにどのように取り入れるか▽RWDをどう収集して、データをどう標準化するか――などの検討が必要との認識で一致した。これらを議論する場として、RWDの国際シンポジウムの開催が検討されることになった。
このほか、各国・地域で共通する課題として薬剤耐性菌対応や偽造薬対策の国際連携を議論した。薬剤耐性菌対応について各国の薬事規制当局は、抗菌薬開発を促進するための臨床評価ガイドラインの整備や、抗菌薬の適正使用モニタリングの推進などに取り組む重要性が強調された。偽造薬対策については各国の薬事規制当局は、必要な技術やデータベースの構築、様々な関係者との連携、販売後追跡システムの構築を検討する必要があるとされ、WHOには偽造薬の監視モニタリングを行う役割があるとされた。
今回の同サミット期間中に日本は九つの国・地域と2国間会合を実施した。欧州とは、定期的な人材交流、再生医療等製品分野の協力促進で合意したほか、ポーランド、デンマーク、英国、サウジアラビア、米国、ミャンマー、韓国、インドネシアと協議を実施し、それぞれ連携を深めることが決まった。
同サミットは、世界23カ国・地域の薬事当局が意見交換する場として2006年から始まった。毎年1回開催されており、日本が主催国となるのは初めて。
ICMRAは同サミットから派生する形で12年から開始。サプライチェーン、市販後安全対策、危機管理の各作業委員会を設けて国際連携プロジェクトを実施している。今回新たにイノベーションに関する作業委員会を設けることになった。
2018年は同サミットとICMRAが統合され、ICMRAサミットとして米国で開催される。