成人や小児を問わず、1回の経口投与で治療が完結
塩野義製薬株式会社は10月25日、同社創製の新規キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害薬「S-033188」について、成人および小児におけるA型またはB型インフルエンザウイルス感染症を適応症として、国内における製造販売承認申請を行ったと発表した。
同剤は、既存の薬剤とは異なる作用機序で、インフルエンザウイルスの増殖を抑制する新規化合物。2015年10月に厚生労働省より先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。また、成人や小児を問わず、経口による1回のみの錠剤の服用で治療が完結。そのため、利便性が高く、確実なアドヒアランスが期待できる。
投与翌日に50%以上の患者でウイルス力価陰性化
健常なインフルエンザ患者対象に実施した臨床試験「CAPSTONE-1」において、S-033188は、既存薬の「タミフル(R)」と比較して抗ウイルス効果が高く、投与翌日には小児を含む50%以上の患者でウイルス力価の陰性化が認められた。そのため、家庭内や学校、職場等でのウイルス伝播、飛沫・空気感染拡大に対しても、一定の抑制効果を示すことが期待される。また、薬剤との関係性が疑われる有害事象(副作用)の発現率がタミフルと比較して有意に低く、従来の治療と同等以上の安全性を示すことが考えられるという。
さらに、同剤は、非臨床試験でH5N1やH7N9の鳥インフルエンザウイルス、既存のインフルエンザ治療薬に耐性を有するウイルス株を含む、さまざまな亜型のA型インフルエンザウイルスに対しても、ウイルス増殖抑制効果が確認されている。そのため、パンデミックへの備えとしても重要な薬剤になると考えられるという。
同社は現在、スイスのF.Hoffmann-LaRocheLtdとの提携の下、重症化、合併症を起こしやすいリスク因子を持つハイリスク患者対象の臨床試験「CAPSTONE-2」を行っている。
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・塩野義製薬株式会社 プレスリリース