■2017年内メドに報告書
厚生労働省は19日、4カ月ぶりに「医療用医薬品の偽造品流通防止のための施策のあり方に関する検討会」を再開させ、偽造品流通防止に向けて残された課題を提示した。流通過程での品質確保のため、国際的な「医薬品適正流通基準」であるGDP(Good Distribution Practice)ガイドラインに対応した国内ルールを検討するほか、卸売販売業者の業務体制にかかる許可基準の設定、薬局開設者と管理薬剤師の責任・責務を法令上、どう位置づけるかなどについて議論し、2017年内をメドに報告書をまとめる。
この日の会議では、6月の「中間取りまとめ」を踏まえ、▽流通過程での品質の確保▽規制の法令上の位置づけのあり方▽封かん方法などに関する適切な情報共有に関するルール作り――を中心に議論することを確認した。
流通過程の品質確保に向けては、PIC/SのGDPガイドライン全般に対応する国内ルールを検討する。具体的な運用については、明確な基準とするのか、あくまで努力義務の範疇にとどめるのかも含め、検討する。
規制の法令上の位置づけのあり方では、薬局や製造販売業者と異なり、現行の卸売販売業者の許可基準では、営業所の構造設備と申請者に係る基準のみで、卸売販売業者の業務を行う体制にかかる基準がないことから、許可基準としてどう位置づけるかを検討する。
また、偽造品の流通事案が、医薬品を仕入れた薬局が同一法人内の薬局に医薬品を融通していたことが要因の一つになっていたことを踏まえ、薬局が医薬品の販売・授与を業務の中心としている業態をどう規制するかについても検討する。
今回の事案では、薬局と管理薬剤師には法的な対応がとられたものの、薬剤師ではない開設者については明確な処分の規定がなく、法的措置が講じられなかったことから、薬局開設者や管理薬剤師の責任や責務のあり方などについても実態を踏まえて検討を進める。
封かん方法の見直しでは、偽造品がボトルで流通したことを踏まえ、一定のルール化で、関係者が封をされている製品と開封された製品を区別できる仕組み作りの検討を行う。
羽鳥裕構成員(日本医師会常任理事)は、薬局が違法行為などを行った場合に、その長である「薬局開設者を必ず罰するような仕組みが必要」と指摘。
森昌平構成員(日本薬剤師会副会長)は、薬局の規模が大きくなればなるほど「開設者と管理薬剤師の距離は広がる」とし、両者の関係をどう保っていくかについて、「整理する必要がある」との考えを示した。