薬用作物の国内栽培化に向けて、産地側と漢方薬メーカー(実需者)のマッチングが加速する気配が出てきているようだ。薬用作物産地支援協議会が9月から全国8カ所で開催する「薬用作物の産地化に向けた地域相談会」では、日本漢方生薬製剤協会が「日本産と中国産生薬の購入価格」と「日本産生薬の生産希望品目」を提示。栽培に投じた費用を回収できるかが不安な産地側にとっては、各生薬での取引価格や、漢方薬メーカーが日本産を希望する品目が示されたことで、栽培の事業可能性を検討しやすくなり、前回よりも活発な質疑が行われたという。これまでマッチング不成立、マッチングが成立しても折衝を中止した理由の一つが取引価格が見えづらい点にあったため、同協議会も「地域相談会で産地側と実需側が生産を見据えた話ができる」と期待する。
■マッチングの円滑化に期待
漢方薬原料となる生薬をめぐっては、日本産はわずか約10%にとどまるなど、多くを中国など海外からの調達に依存する。こうした状況を受け、日漢協、厚生労働省、農林水産省が実需者と生産者をマッチングする「薬用作物の産地化に向けたブロック会議」を2013年から実施し、2016年から全国農業改良普及支援協会と日漢協が設立した薬用作物産地支援協議会が地域相談会として引き継いだ。