ImPACT「社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォーム」の一環
自治医科大学は10月19日、株式会社ケーアイエス、株式会社グッドマンと共同で、複数循環器医療施設からの統合情報収集システムを開発したと発表した。この研究は、内閣府総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)「社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォーム」の一環として行われたもの。
画像はリリースより
循環器医療は、治療に用いる薬物やデバイスなどが次々に変わっていっており、従来型の観察研究やレジストリ研究では研究結果が公表される頃には、すでに古い治療となっていることがしばしばある。そのため、詳細な検査・治療情報をできるだけリアルタイムで収集し、それを時系列に整理し、解析してタイムリーにフィードバックすることが求められている。しかし、これまで電子カルテやカテーテルレポートのシステムが病院によって異なるために、これらの情報を標準化して集めることはできなかった。
東北大学病院・東京大学医学部附属病院ら5施設で稼働開始
今回のImPACT研究では、電子的に登録された検査情報やカルテ情報をSS-MIXという共通形式で収集するレジストリデータベースシステム(MCDRS)を発展させ、さらに心臓カテーテル検査・治療の詳細を標準化し記録できるレポートシステム(CAIRS)を統合することで、多施設の膨大かつ詳細な診療データをリアルタイムに収集する新たな複数循環器医療施設からの統合情報収集システムを世界に先駆けて開発した。
このシステムは、異なる循環器医療施設から共通形式でデータを出力し、匿名化後に収集することができ、異なるベンダーの電子カルテやレポートシステムから出力された情報を自動的に収集することで、正確かつ手間少なく大量のデータを収集可能。また、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の患者の背景、危険因子、カテーテル治療の成績などを容易にかつ一元的に把握することができるようになった。同システムを用い、東北大学病院・東京大学医学部附属病院・自治医科大学(附属病院・附属さいたま医療センター)・九州大学病院5施設の共通プラットフォームから稼働を開始したという。
研究グループは、今後もImPACT「社会リスクを低減する超ビッグデータプラットフォーム」において、MCDRSをさらに包括的かつ拡大的に発展させる予定としている。また、同システムは既存の医療標準規格を活用しており、今後さらに多くの施設の参加を見込むことが可能であるため、臨床エビデンスを構築するための新たな標準的プラットフォームを目指すとしている。
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