九州大学が保有する新規遺伝子導入用ベクター
タカラバイオ株式会社は10月19日、九州大学が保有する新規遺伝子導入用ベクターである麻疹ウイルスベクターを用いたiPS細胞作製技術のライセンス契約を締結し、全世界での独占的実施権を取得したと発表した。
タカラバイオは、同技術の発明者である東京大学医科学研究所ALA先端医療学社会連携研究部門の谷憲三朗特任教授(元九州大学生体防御医学研究所教授)、および国立感染症研究所ウイルス第三部の竹田誠部長(元九州大学大学院医学研究院准教授)らとともに、麻疹ウイルスベクターを用いたiPS細胞作製技術開発の共同研究を実施している。
免疫細胞や造血幹細胞などに高効率で遺伝子導入が可能
はしかの原因となる麻疹ウイルスは、パラミクソウイルス科に属する一本鎖RNAウイルス。麻疹ウイルスベクターは、麻疹ウイルスが本来もつ病原性および伝播性に関わる遺伝子を欠損させ、目的の遺伝子を搭載できるよう改変した遺伝子導入用ウイルスベクターだ。
搭載した遺伝子が細胞質内でのみ転写・翻訳されるため、染色体に遺伝子が組み込まれず、特に免疫細胞や造血幹細胞などに高効率で遺伝子導入することが可能で、効率良くiPS細胞を作製できるという。
今回の独占的実施権を取得により、今後は、タカラバイオにおいてiPS細胞作製用麻疹ウイルスベクターの最適化・大量製造法の開発などをさらに進め、麻疹ウイルスベクターを用いた新製品・受託サービスメニューを開始する予定。
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・タカラバイオ株式会社 ニュースリリース