8月21日に共同研究に関する契約を締結
東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)と国立長寿医療研究センター(NCGG)は10月18日、超高齢社会における健康寿命の延伸に向けた共同研究を実施する契約を8月21日に締結し、共同研究を開始したと発表した。
画像はリリースより
NCGGは、心と体の自立を促進し健康長寿社会構築に貢献する目的で2010年に設立された。一方、ToMMoは、東日本大震災後の復興事業として2011年度から始められた東北メディカル・メガバンク計画(TMM)計画を推進するために設立され、岩手医科大学と共に宮城県・岩手県で総計15万人以上の参加者のコホート調査を実施し、バイオバンクを構築している。
ToMMoが運用するバイオバンクと、NCGGメディカルゲノムセンター・バイオバンク(NCGGバイオバンク)が一翼を成すナショナルセンターバイオバンクネットワーク(NCBN)は、日本の3大バイオバンクに数えられている。
老年病感受性遺伝子の同定や解析、疾患発症予測モデル構築に期待
今回の共同研究は、それぞれのバイオバンクの特徴を活かして協力することで、今後の日本において最重要課題とされる超高齢社会への対応において、健康寿命の延伸に資する研究を行うことを目的としている。
具体例としては、ToMMoの全ゲノムリファレンスデータとNCGGのジャポニカ全ゲノムジェノタイピングデータ統合による日本人に特化した大規模ゲノムワイド関連解析を用いた老年病感受性遺伝子の同定、解析および疾患発症予測モデルの構築、NCGGの全エクソーム、全ゲノムシークエンスデータとToMMoの全ゲノムシークエンスデータの比較解析による老年病原因、関連遺伝子の同定、地域特性(東北vs中部)の検証や健常高齢者とその加齢特性の解析など、多岐にわたる。
また、両施設の運営には、医師、治験コーディネーター、バイオインフォマティシャンなど多くの人材が携わっていることから、それぞれのバイオバンクの人材が相互の交流を通じてノウハウを共有し、人材の育成や保存検体の品質管理工程の標準化なども行うという。
ToMMoの運用するバイオバンクは、コホート調査の追跡により今後、数年経過後の加齢等による状況変化の情報を加えていく。これら概ね健常な一般成人を対象としたコホート研究による検体・データと、NCGGバイオバンクの高齢期に発症する認知症や運動器疾患などの疾患をもつ人を対象とした疾患コホート研究による検体・データを統合解析できることは、極めて大きなゲノム疫学研究のリソースとなる。今後の研究によって、関連遺伝子群の同定やそれらを用いた発症リスクの推定、保因者に関する研究等での成果が期待される。
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・東北大学 プレスリリース