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【国際医療センター病院】英語表記で薬袋、薬情発行-外国人患者に対応、今月開始

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2017年10月18日 AM10:30


■東京五輪控え国際化急ぐ

国立国際医療研究センター病院薬剤部は、今月からオーダリングシステムと連動した英語表記の薬袋と医薬品情報提供用紙の発行を開始した。増加する外国人患者への対応が狙い。これまで外国人患者への説明は、内用薬、外用薬、頓用薬について4カ国語に対応した外国語服薬支援ツールを活用してきたが、薬剤師が服用方法や回数を手書きで記入する手間や転記ミスの可能性があったことから、医師が処方時に「英語表記」とコメント入力するだけで自動的に薬袋、医薬品情報提供用紙が英語で出力されるシステムを構築した。2020年の東京オリンピック、パラリンピックの開催を控え、外国人患者への対応が求められる中、国際化に向けた取り組みが加速しそうだ。

英語で表記された薬袋

同センター病院は、外国人居住者が多い東京都新宿区に位置していることから、国際診療部を設置して外国人患者の受診や療養を積極的に支援してきた。外国人患者受け入れ医療機関として認証を受けているほか、訪日外国人の受け入れに適した日本国際病院の推奨病院にもなっている。

実際、今年4~9月に初診で訪れた外国人患者の割合は11~12%、初診の外国人外来患者数は1日平均20人前後、再診率は3%と外国人患者は増加傾向にある。中国人、韓国人などアジア人が多くを占めるが、今年1月には来院時の自動受付機を5カ国で操作できる多言語対応を実現。外国人患者の受付がスムーズに行えるよう取り組みをさらに強化した。

薬剤部でも外国人患者に対応するため、02年から内用薬、外用薬、頓服薬の服用方法を説明する英語、中国語、韓国語、ポルトガル語の4カ国に対応した服薬支援ツールを作成。処方された薬の内容や服用方法について記載した用紙を外国人患者に渡して活用してきた。

ただ、外国人患者ごとに薬剤師が4カ国語対応の服薬支援ツールに用法・用量の数字を記載し、説明する手間がかかる上、日本語の薬袋と医薬品情報提供用紙の数字を手書きで転記していたため、服薬支援ツールの用紙への転記ミスの可能性もあった。そこで、薬袋と医薬品情報提供用紙を英語表記とすることにより、外国人患者の利便性が高まると同時に、薬剤師の業務負担や転記ミス防止につながると判断。電子カルテの更新をきっかけに、オーダリングシステムと連動した形で薬袋と医薬品情報提供用紙が英語で出力されるシステムを構築した。

新たなシステムは、医師がオーダリングシステムに処方を入力するフローは変わらないが、薬剤コメントに「英語表記」と入力すると英語の薬袋、医薬品情報提供用紙が出力されるというもの。例えば、医師がカルシウム拮抗薬「アダラートCR錠20mg」1錠を1日1回朝食後と処方し、薬剤コメント欄に英語表記と入力。処方を確定すると、自動的に英語のマスタに変換されて英語の薬袋、医薬品情報提供用紙が出力されるという流れである。

医師が薬剤コメント欄に入力し忘れ、日本語の薬袋と医薬品情報提供用紙が出力されても、患者が希望した場合は薬剤部でも英語の薬袋、医薬品情報提供用紙を再発行できる仕組みとしている。10月から外来患者を対象に英語の薬袋、医薬品情報提供用紙を発行しているが、入院患者にも対応できる。英語の下には小さく日本語も併記しており、病棟スタッフが確認できるよう工夫されている。

同センター病院薬剤部の増田純一医薬品情報管理室長は「外国人患者の多くは中国人、韓国人だが、まず東京オリンピック、パラリンピックの開催前に英語で対応し、次の課題として中国語、韓国語に対応していきたい」と話している。

早速、英語の薬袋、医薬品情報提供用紙の発行開始後、外国人患者から「ドイツ語では表記できないのか」と反応があったようだ。今後、3年後の東京オリンピック、パラリンピックを見据え、英語の薬袋、医薬品情報提供用紙を発行するだけでなく、英語以外の言語には外国語服薬支援ツールや電話通訳などを組み合わせ、外国人患者への対応を強化していきたい考え。

くわ※原健薬剤部長は、「最近、外国人患者が増えている実感はある。国際化対応が必要な時代になってきたということであり、東京オリンピックの開催をきっかけに、様々な国の人が病院を受診し、薬局を訪れるようになるだろう。それにどう対応していくかが課題になってくるのではないか」と話している。

※くわは卉の下に木

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