患者の約3割、抗うつ剤治療では効果が不十分なうつ病
帝人ファーマ株式会社は10月16日、米Neuronetics,Inc.(ニューロネティクス社)より、うつ病の治療装置「NeuroStar(R) TMS治療装置」の日本における独占販売権を取得したと発表した。
画像はリリースより
厚生労働省の患者調査等によると、国内のうつ病患者数は、受診者で約73万人、未受診の潜在患者まで含めると約250万人以上とされている。また、その約3割が通常の抗うつ剤では症状が改善されにくいうつ病だといわれている。
抗うつ剤治療では効果が不十分なうつ病に対しては、主に作用機序の異なる薬剤を併用する「増強療法」や、頭部に電流を流す「電気けいれん療法」などが用いられる。しかし、これらの治療法は有効性が高い反面、副作用のリスクが少なくないことから、より安全性の高い治療法のニーズが高まっている。
2017年9月に承認取得、2018年度中に販売開始を目指す
NeuroStarは、ニューロネティクス社が開発したrTMS(反復経頭蓋磁気刺激)装置で、2008年に米国でうつ病治療機器として初めてFDAの承認を受け、約10年の治療実績がある。日本では、2017年9月に国内で初めて成人のうつ病患者(既存の抗うつ剤治療で十分な効果が認められない場合に限る)に対するrTMS治療装置として、承認を取得している。
同装置は、頭部に当てた磁気コイルから非侵襲的に左背外側前頭前野に磁気刺激を与える。この刺激が脳内に電流を誘導し、神経伝達物質の放出を促すことで脳内を活性化させ、うつ症状の軽減や消失をもたらすことが期待されるという。装置の主な副作用として、治療部位の不快感や頭痛などがあるが、抗うつ薬に見られるような全身的な副作用が発生しにくい。このことから、副作用により治療継続が困難な患者にとっても、新たな選択肢となることが期待されるとしている。
なお、帝人ファーマは、2018年度中に医療機関に向けたNeuroStarの販売開始を目指す予定。
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