国がん、JVC ケンウッド、シスメックス、第一三共が連携
国立がん研究センター、株式会社JVC ケンウッド、シスメックス株式会社および第一三共株式会社は10月16日、がんの診断および治療の質向上に資する共同研究を開始したと発表した。
この共同研究の対象は、体内の細胞が放出するエクソソーム。がん患者では、がんの特徴を有するエクソソームが血液中に増えていることが近年、明らかになってきた。今回の共同研究では、がん患者においてHER2などの特定のタンパク質をもつエクソソームを測定可能となることで、治療法や治療効果等の判断を従来の腫瘍組織からだけではなく血液からもできるようになることが期待されるという。
組織採取時の負担を軽減、採取が難しい場合の治療法提案も
JVC ケンウッドは、光ディスク技術を応用したエクソソーム高精度定量システム「ExoCounter」を慶應義塾大学医科学研究質と共同で構築し、事業化へ向けた開発を行っている。このシステムをさらに発展させ、がんに由来する特定のエクソソームを高精度に検出する技術を提供することで、今回の共同研究に寄与する。
シスメックスは、血液や尿、細胞などを採取して調べる検体検査領域において、血球計数検査、免疫、凝固などの分野でグローバルな事業展開をしている強みがある。今回の共同研究においても、 同社が有する遺伝子・タンパク測定技術を活用するとともに、JVC ケンウッドの装置を医療現場で活用できるようにするための信頼性確保を含めた開発面で力を発揮できるとしている。
国立がん研究センターおよび第一三共は、エクソソームの測定データをがん患者の診断および治療に有効活用していくという。
がん専門の研究機関、電子・診断機器メーカーおよび製薬会社が連携し、この技術を確立することにより、診断のために複数回の組織採取を強いられてきた患者の負担を大幅に軽減すると共に、病変部位組織の採取が難しい患者へも治療法を提案することを目指していきたいとしている。
▼関連リンク
・国立がん研究センター プレスリリース