同プログラムは、製薬医学教育の認証を行う欧州のNPO「ファーマトレイン」が定める国際カリキュラムの要件を満たすと判定された人を第三者的に認定するもの。体系的な教育カリキュラムや評価基準が確立されていない国内の製薬企業や医療機関の職場で導入することにより、客観的に開発実務の遂行能力を評価し、医薬品開発のスペシャリストを育てるのが狙い。
2016年、実施したパイロット事業では、開発業務に携わるリーダー候補生とメンター(指導者)を務める職場上司7組について、▽創薬と早期開発▽臨床開発と臨床試験▽薬事規制▽医薬品安全性サーベイランス▽倫理と被験者保護▽ヘルスケア市場▽コミュニケーションとマネジメント――の七つのドメインの達成状況をメンターが詳細に評価。最終的に第三者の評価委員複数人が評価し、終了した。
これまで製薬企業等で医薬品開発業務に携わる職員の実務遂行能力について客観的な証明は難しかったが、国際標準のSMDプログラムでカリキュラムの要件を満たすと判定されると、国際認定証が発行されて医薬品開発の“スペシャリスト”と認められる。こうした基礎知識、実務遂行能力を備えた人がスペシャリストとして認定され、その人が職場の次の人材を育成し、底上げしていくサイクルが期待されている。
そのため正規プログラムでは、職場単位の5人以上のグループ参加も受け入れる。SMDプログラムのメリットは、製薬企業等で開発業務に携わる職場が最も享受できるとされ、5人以上の職場単位で国際認定を受けることで、各社員の実務遂行能力が「見える化」され、それを客観的な人事評価に反映できるという。
具体的なプログラムの修了期間は、参加者の実務遂行能力の育成状況によって約2~4年を想定。各社の対象社員の経験年数に合わせ、初年度は新卒社員から入社3年までの社員、次年度は中堅の入社4年以上と新卒社員を登録するなど、参加企業の人事評価時期に連動させることにより、SMDプログラムの評価を人事評価に取り入れることができる。
現在、製薬各社における人事考課は、根拠に基づいた評価が行われているケースが多いとは言い難く、上司の主観やあいまいな評価を含めた査定が行われている側面も否めない。国際標準のSMDプログラムを活用することにより、上司と部下が相互に客観的な指標に基づいて目標達成度を議論でき、主観をなるべく排除した納得性の高い評価につながる。それが職場での良好な信頼関係の構築に役立つという。
今回、新たにスタートした職場ごとの5人以上のグループ参加により、各社の開発業務の底上げが期待できることから、同学会では積極的なグループ参加を呼びかけている。