厚生労働省保険局医療課の中山智紀薬剤管理官は8日、第50回日本薬剤師会学術大会で2018年度調剤報酬改定の方向性について講演し、16年度改定で導入された医師の指示に基づく「分割調剤」について言及した。既に、厚労省の「新たな医療のあり方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」の報告書や、政府の「骨太の方針2017」で、医師の指示に基づく「リフィル処方箋」を推進する考えが盛り込まれているが、「分割処方が、なかなか広がっていないという状況がある」とした上で、「もう一歩進められる施策が打ち出せないか検討している」と語った。
16年度改定では、長期保存が困難な場合や、後発品を初めて使用する場合以外にも、患者の病状が安定しているものの、患者の服薬管理が困難などの理由によって、医師が処方時に指示した場合には、薬局で分割調剤を実施できるようになった。
中山氏は、長期投薬の取り扱いに関する「一定の枠組みはできた」としつつも、「なかなか分割処方をするとか、分割調剤を受けるという取り組みが、広がっていない状況がある」と指摘した。
ただ、長期投薬の中で、医師が必要だと認めた場合に、薬物療法を管理するための選択肢の一つとして、「そういうことがあってもよいのではないか」との認識を示し、「こうした部分について、もう一歩進められる施策が打ち出せないか検討している」と説明。「かけ声だけだと、なかなかうまくいかないところもある」とし、「どういう形をとれるか、関係者との調整が必要」とした。
一方、16年度改定で算定の幅が広がった重複投薬・相互作用等防止加算の算定状況を提示。15年度の旧加算(処方変更あり)の算定件数は8万7673件だったが、重複投薬や相互作用などの防止目的以外の処方変更でも算定が可能になった16年度は27万8491件と「飛躍的に伸びている」ことを明らかにした。
その上で、「こうしたデータが出てくれば、薬剤師の活動が貢献できていることを世の中に示すことができる」とし、「各地でもぜひ、出していただきたい」と呼びかけた。
かかりつけ薬剤師指導料・同包括管理料については、施設基準の一つになっている「32時間勤務」にも触れた。「働き方改革が叫ばれる中、少し厳しいのではないかという意見もいただいている」とし、検討課題の一つとしていることを示唆した。