AMLへ高い確率で移行する予後不良の難治性疾患
シンバイオ製薬株式会社は10月10日、2017年6月30日に開始した高リスク骨髄異形成症候群(MDS)を対象とした抗がん剤rigosertib(リゴセルチブ経口剤)の単剤の第1相臨床試験において、最初の患者登録を完了したこと発表した。
MDSは、造血幹細胞の異常によって造血障害を起こし、その結果、血球減少を起こす疾患。急性骨髄性白血病(AML)への移行が高い確率で見られる予後不良の難治性疾患だ。高齢者に多く認められることから、高齢化に伴い患者数が増加する傾向にある。現在、優れた治療方法がなく、多くの患者が輸血に依存することから、新しい治療方法が求められている。CancerMPact 2016によれば、国内のMDSの薬物治療患者数は約7,700人と推計される。
リゴセルチブは、がん関連遺伝子産物のRasの作用を阻害することで、PI3Kなど複数のキナーゼ(リン酸化酵素)の作用を防ぎ、がんの生存や増殖に必要な細胞内シグナルの伝達を抑制することで、がん細胞を死滅させる新たな作用機序を有する低分子の抗がん剤。シンバイオは、2011年7月に米Onconova Therapeutics, Inc.(オンコノバ社)との間でライセンス契約を締結し、リゴセルチブの日本・韓国における独占的開発権および販売権を取得している。
アザシチジンとの併用で初回治療高リスクMDSを適応症として開発予定
今回の試験は、オンコノバ社が、現在米国で実施している初回治療および再発・難治性MDS対象の第2相臨床試験で追加設定された、高用量の安全性を確認することを目的としている。同試験で安全性が確認された後、速やかにアザシチジンとの併用による国内試験を実施し、オンコノバ社が計画している、初回治療高リスクMDS対象の第3相国際共同試験(アザシチジンとの併用)に参加する計画だという。
現在、シンバイオは、リゴセルチブ注射剤の再発・難治性高リスクMDSを対象とした第3相国際共同試験を実施している。今後、リゴセルチブ経口剤については、アザシチジンとの併用により初回治療高リスクMDSを適応症として開発を進めていく予定。
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