■1万2000人が参加し活発に討論
「Pharmacists Practicing with Pride―新たな次代に向けて、さらなる飛躍」をメインテーマに第50回日本薬剤師会学術大会が8、9の両日、東京都内で開催され、全国から約1万2000人が参加するなど盛況となった。47の分科会が企画されたほか、特別記念講演1題、特別講演7題、日本医師会、日本歯科医師会、日薬の各会長によるパネルディスカッションなど、多彩なプログラムが展開された。一般演題も過去最多となる838題が集まり、今後の薬局、薬剤師が果たす役割について、積極的な討論が繰り広げられた。
初日の開会式であいさつした山本信夫日薬会長は、「職能団体としての薬剤師が担う役割や責任を一歩一歩確実に果たすことが国民患者の健康と安全を守ることと同時に、国民や患者らの期待に応えることに直結する」との考えを強調。一方で、今年に入り、偽造薬が流通して患者に投薬された事案の発覚、さらには調剤報酬の付け替え請求、違法な方法で入手した処方箋で医薬品を調剤するなど経済的視点からの不正行為が発覚していることに言及。
こうした事態を真摯に受け止め、特別委員会を設置し検討を進めていた「薬剤師行動規範」案がまとまったことを報告。「失いかけた信頼を回復するために、改めて薬剤師のプロフェッションとしてのありようについて自らの行動を自ら律することで、国民の期待に沿うよう歩み始める決意を固めたところ」と説明。「薬剤師一人ひとりがテーマであるプライドを単なる自慢にとどめることなく、個々人が自ら矜持を持ち、それを声高らかに主張し、国民からの期待に応える薬剤師を目指すことを期待したい」と述べた。
大会運営委員長の石垣栄一氏は「薬剤師はファーマシューティカルケアという行動哲学のもと医療人としての高い倫理観を持ち、自らの仕事に誇りを持ち、適正な医薬分業のもと国民の健康な生活を確保することを胸に使命を果たすことが求められている」と強調。「参加した皆さんと共に、知識と意識を高めて誇りを持って次代に向かって飛躍したい」との思いを語った。
来賓あいさつでは、加藤勝信厚生労働大臣が登壇。薬局薬剤師に対して「地域における医薬品の供給拠点であると同時に病気の予防や健康づくりの面でも安心して相談できる身近な存在として、一層、その役割を果たさせることを期待している」と述べた上で、次回調剤報酬改定に向けて「かかりつけ薬剤師、薬局の活躍の推進や、薬局の機能に応じた評価について検討したい」とし、かかりつけ薬剤師、薬局の推進に取り組む考えを示した。
式典の最後には、来年の日薬学術大会を担当する石川県薬剤師会の中森慶滋会長に石垣氏から薬剤師綱領の盾が引き継がれた。
■首相が初の来賓あいさつも
開会式では、日薬学術大会史上初めて、安倍晋三内閣総理大臣が来賓として祝辞を述べた。
その中で「皆様には地域における薬の専門家として、医療機関等と連携しつつ、在宅医療・介護の一翼を担うと共に、安心して気軽に相談できる身近な存在として病気の予防や健康づくりの面への力添えを期待している」と強調。「今後とも患者生活を支える専門家としての誇りと覚悟を持ちながら、活躍いただくことを期待している」と薬剤師に対してエールを送った。