偽陰性を減らすために重要なティシューダイセクション
ロシュ・ダイアグノスティック株式会社は10月2日、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)切片から、解析対象の目的細胞領域を切り出すシステム「アベニオ Millisect」の発売を開始したと発表した。
画像はリリースより
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)または次世代シークエンサーによるがんの遺伝子検査または解析にFFPE検体を用いる場合、がん細胞の遺伝子情報をより正確に把握し、偽陰性を減らすためには、FFPE切片から目的とする細胞領域を切り出す「ティシューダイセクション」が重要となる。
ティシューダイセクションには、現在、手作業によるマニュアルダイセクションと、レーザーによるレーザーキャプチャーマイクロダイセクション(LCM)がある。マニュアルダイセクションは作業が煩雑で熟練の技術を要し、隣接する正常細胞が混入しやすく、検査結果が偽陰性になるリスクが高くなる。一方、LCMは操作が複雑で時間がかかり、微小な切り出しができるものの、細胞損失の可能性や核酸回収の担保が難しい場合がある。
目的細胞領域を拡大画像上でデジタルマーキング
今回発売されたアベニオ Millisectは、目的細胞領域を拡大画像上でデジタルマーキングし、使い捨ての専用チップを用いて自動で切り出し、回収ができる新しいダイセクションシステム。シンプルな操作で日常のラボワークフローに組み込みやすく、作業者の熟練度に関わらず一定した結果が得られるという。
専用チップはブレードのサイズによって3種類あり、最小で直径250μmの精度で切り出す。これにより、臨床的に有用な量の腫瘍細胞含有量の高い試料を確保でき、デジタルマーキングの情報や切り出し前後のスライドの画像は自動的にレポート作成され、追跡することが可能としている。
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・ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社 プレスリリース