スマートフォンアプリの育児ビッグデータを解析
国立成育医療研究センター研究所と株式会社ファーストアセントは9月28日、日本に住む0歳児が、冬に比べて夏に身長が増加しやすいことを明らかにしたと発表した。この研究は、スマートフォンアプリの育児データを使ったもの。研究成果は、第51回日本小児内分泌学会学術集会において、国立成育医療研究センター研究所分子内分泌研究部の鳴海覚志基礎内分泌研究室長が発表した。
画像はリリースより
今回の研究では、0歳児の成長の季節差について着目。日本では古くから「夏の方が、身長が伸びやすい」という言い伝えがあった。
これまでにも保育園児に対する調査を通じて「最も増加する季節は夏」と結論した小規模な報告はあったものの、0歳児の成長の季節差の有無を、数千人規模の大規模データを使って検証するような研究は世界的に前例がなかったという。
夏と冬の1か月での身長増加、約10%の幅で変動
今回の研究では、医学研究への利用に関して同意の得られた1億件以上のライフログデータの中から、身長、体重に関わる約6千名分(約4万件)の0歳児のデータを解析。2回の計測の間の身長・体重の「伸び」を求め、基準化した「伸び」の指標を月別・季節別に集計したという。
その結果、体重の「伸び」は季節による変動はなかったが、身長は春から夏にかけて「伸び」が大きく、秋から冬にかけて小さくなることがわかったという。夏と冬の1か月での身長増加を比べると、平均して月に1.35cm身長が増加する6か月児において、その差は0.13cmであり、約10%の幅で変動していた。月別のデータをみると、身長の「伸び」の指標は7月に最大値をとった後、9月には既に低下する傾向があり、気候の変動パターンの中では気温や日長比べ日射量に近いパターンだった。
現時点でどのようなメカニズムで0歳児の成長速度に季節差が生じるかは不明だが、日光照射によるなんらかの影響があると推測される。研究グループは、居住地域や外出頻度などの違いが季節差とどう関わっているかについて調査し、どのようなメカニズムで成長の季節差が生じるのか、明らかにしていきたいと述べている。
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・国立成育医療研究センター研究所 プレスリリース