東北大病院の遺伝子情報等と、日立の遺伝子情報解析技術等を連携
東北大学と株式会社日立製作所は9月29日、がんや難病の患者一人ひとりに対し、最適な医療を提供する個別化医療に関する共同研究および実用化に向けた包括提携契約を締結したと発表した。東北大学病院が進める個別化医療推進プロジェクトで収集する遺伝子情報や検診情報・診療情報と、日立の遺伝子情報解析技術(バイオインフォマティクス)、解析プラットフォームやAI(人工知能)を連携させ、一部の遺伝子を簡便に見るパネル検査と全エクソーム検査・解析の実用化により、精度の高い個別化医療の実現を目指すとしている。
東北大学は、2017年6月に文部科学省第3期中期目標期間における指定国立大学法人として選定され、個別化医療の実現を柱のひとつとした「未来型医療」などで世界トップレベルの研究機関となることを目指している。また、2012年に東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)を設立し、約15万人のバイオバンクや遺伝子情報から各種環境情報・診療情報までを統合したデータベースの構築を進めている。
日立は、1993年から遺伝子情報関連の事業に取り組み、国内外の研究機関と連携しながら、遺伝子情報解析技術や遺伝子情報システム構築に取り組んできた。ToMMoにおいても、スーパーコンピュータシステム「大規模ゲノムコホート解析システム」の構築を受託、2014年7月から本格的な運用を開始し、その後も運用支援を行っている。AIの分野では、日立独自の人工知能技術をビジネスに適用し、幅広い分野で実績をあげている。
個別化医療のプラットフォームの整備を目指す
今回の契約により東北大学は、東北大学病院の機関である個別化医療センターに、卵巣がんや軟部肉腫などの希少がん、難治性がんをはじめ、がん以外の難病の検体とその遺伝子情報および診療情報を蓄積した疾患バイオバンクを構築する。日立の遺伝子情報システム構築やAI応用の経験を生かし、両者が蓄積された遺伝子情報と診療情報を組み合わせて解析し、個々の患者に最適な治療法を提案する個別化医療のプラットフォームの整備を目指すという。
また、疾患バイオバンクに蓄積するデータ活用のノウハウを生かし、製薬企業などに対して、これまで開発が困難であった、がんやがん以外の難病の革新的治療薬や発症予防法の開発を支援するとしている。
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・東北大学 プレスリリース