CD38を標的とする新規作用機序のモノクローナル抗体
ヤンセンファーマ株式会社は9月28日、ヒト抗CD38モノクローナル抗体「ダラザレックス(R)点滴静注100mg、同400mg」(一般名:ダラツムマブ(遺伝子組換え))について、「再発または難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果とする製造販売承認を取得したと発表した。
同剤は、CD38を標的とする新規作用機序のモノクローナル抗体。多発性骨髄腫を含む造血器腫瘍の腫瘍細胞表面に発現するCD38抗原に結合することにより、補体依存性細胞傷害(CDC)作用、抗体依存性細胞傷害(ADCC)作用、抗体依存性細胞貪食(ADCP)作用を介して抗腫瘍効果を示す。
米国では2015年11月に「プロテアソーム阻害剤および免疫調節剤を含む3レジメン以上の前治療歴を有する、またはプロテアソーム阻害剤および免疫調節剤の両剤に難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として承認。欧州では2016年5月に「プロテアソーム阻害剤および免疫調節剤を含む前治療歴を有し、直近の治療に対して疾患進行を示した再発または難治性の多発性骨髄腫」を効能・効果として承認されている。また、再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象に、レナリドミドおよびデキサメタゾン(Ld)への上乗せ効果を検討する第3相国際共同試験、ボルテゾミおよびデキサメタゾン(Bd)への上乗せ効果を検討する第3相海外臨床試験において同剤を含む併用群の優越性が示され、安全性および忍容性が確認されたことから、米国では2016年11月、欧州では2017年4月に「1回以上の前治療歴を有する多発性骨髄腫」を効能・効果として承認。2017年8月現在、米国と欧州を含む56の国と地域で承認されている。
薬価収載までの期間、無償提供を実施
日本においては、再発または難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした本剤とBdとの併用療法(DBd療法)の国内第1b相試験により、日本人におけるDBd療法の忍容性および安全性が確認された。さらに、同試験に参加した結果、日本人と全体集団の有効性および安全性に大きな差異は認められなかったことから、「再発または難治性の多発性骨髄腫」の効能・効果にて承認された。
同社は、既存の治療法に抵抗性あるいは不適応の再発または難治性の多発性骨髄腫患者に対して、薬価収載までの期間に限り、同剤の無償提供を行う。ただし、適正使用を徹底するため、同剤の使用を理解している開発治験実施施設の中から、無償提供を希望され、かつ、承認された適応、用法・用量に従って使用すること、また同社が実施する市販直後調査・全例調査に協力することに合意した施設に限定して実施される。また、同剤提供は製造販売承認取得日以降、各施設での準備が整った時点から開始し、薬価収載日に終了するとしている。
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