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自閉症児が健常児とは異なる音楽の好みや一種の美意識を持つ可能性-京大

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2017年09月28日 PM12:45

ASD児と健常児にさまざまな楽曲を聞かせて聴取時間を比較

京都大学は9月26日、自閉症児が健常児と比べて不協和音をあまり好まない傾向があることや、音楽的な効果を狙い意図的に不協和音が使われている楽曲を健常児よりも長い時間聴き続ける傾向があることを確認したと発表した。この研究は、同大霊長類研究所の正高信男教授によるもの。研究成果は「Frontiers in Psychology」に掲載されている。


画像はリリースより

)は、社会性やコミュニケーション能力、想像能力などを基準に診断される発達障害。自閉症患者は、学問や芸術に才能を発揮することも指摘されており、ASDに関する初期の研究報告でも音楽の才能を持つ事例が報告されている。過去の研究では、ASDを対象に絶対音感や調性音楽・無調性音楽の暗譜能力といった調査が行われてきたが、演奏に関する能力についての研究が中心であり、認知に関する研究はあまり行われていなかった。

今回の研究では、4~9歳のASD児19人と同じ年齢層の健常児28人にさまざまな楽曲を聞かせ聴取時間を比較することで、自閉症児がどのように音楽を聴いているのかを調査した。

意図的に不協和音を入れている楽曲、健常児よりも聴き続ける傾向に

研究グループは、まず、ほぼ全編が協和音で作曲されている楽曲と、若干編曲を加え不協和音を増やした楽曲を用意し、グループによって聴き続ける時間に差がつくのかどうか見極める実験を行った。その結果、どちらのグループも元の楽曲を長く聞き続けるという結果になった。また、自閉症児のグループの方が、不協和音を多く含む曲を聴く時間が短い傾向が見られたという。

さらに、不協和音をあまり含まない楽曲2曲と、作曲者が効果を狙って不協和音を入れている楽曲2曲の計4曲について、最初の実験と同じように聴取時間を比較。最初の実験では、どちらのグループも不協和音を多く含む楽曲の聴取時間が短い傾向だったのに対し、この実験では、自閉症児のグループの方が不協和音を多く含む楽曲を長時間聴き続ける傾向があることが確認された。

今回の結果は、自閉症児が健常児とは異なる音楽の好みや、一種の美意識を持っている可能性を示唆するものだという。今後は、ASDの症状の程度によって今回の結果とは異なる傾向がみられるのか、自閉症者の中で優れた音楽的才能を持った人を選んで検証したとしても今回と同じ傾向を確認できるのか、といった研究を重ねていくことで、ASDと音楽的能力との関係をより深く理解できるのでは、研究者は述べている。

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