PD-L1発現に関わらず投与可能
スイス・ロシュ社は9月22日、化学療法の治療歴がある局所進行または転移性非小細胞肺がんに対し、PD-L1の発現状況に関わらず、TECENTRIQ(atezolizumab)の単剤療法の承認を欧州委員会(EC)より取得したと発表した。EGFRもしくはALK遺伝子変異陽性の非小細胞肺がん患者はTECENTRIQの投与前に、これら特定の遺伝子を標的とした医薬品による治療も受けていることが必要。また、白金製剤ベースの化学療法の治療歴のある、もしくはcisplatinベースの化学療法が不適格な局所進行または転移性尿路上皮がんに対しても、PD-L1の発現状況に関わらず、TECENTRIQの単剤療法について承認を取得した。
TECENTRIQは、転移性非小細胞肺がん、およびcisplatinベースの化学療法が不適格、または白金製剤ベースの化学療法施行後に病勢が進行した局所進行または転移性尿路上皮がんに対する治療薬として、米国をはじめとした数か国で承認されている。
日本国内では、非小細胞肺がんを対象とした第2相および第3相国際共同治験、ならびに非小細胞肺がんの術後補助療法、小細胞肺がん、尿路上皮がん、筋層浸潤尿路上皮がんの術後補助療法、乳がん、腎細胞がんおよび腎細胞がんの術後補助療法、卵巣がん、去勢抵抗性前立腺がんを対象とした第3相国際共同治験に参加。合わせて肝がんおよび固形がんを対象とした第1相臨床試験を実施しており、2017年2月に切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対し、製造販売承認申請を行っている。
非小細胞肺がんでは、docetaxelによる化学療法群と比較してOSを4.2か月延長
今回の承認は、局所進行または転移性非小細胞肺がんが対象の大規模ランダム化第3相臨床試験であるOAK試験、およびランダム化第2相臨床試験であるPOPLAR試験の結果に基づくもの。OAK試験において、PD-L1の発現状況に関わらない全集団でのTECENTRIQ群の生存期間(OS)中央値は 13.8か月であり、docetaxelによる化学療法群と比較し、4.2か月の延長を示したという[OS 中央値:13.8か月対9.6か月;ハザード比(HR)=0.73、95%信頼区間(CI):0.62-0.87]。
また、転移性尿路上皮がんに対する承認は、ランダム化第3相臨床試験「IMvigor211試験」およびシングルアームの第2相臨床試験「IMvigor210試験」のコホート1(cisplatinベースの化学療法が不適格な患者群)およびコホート2(白金製剤ベースの化学療法による治療歴がある患者群)の成績に基づいている。IMvigor211試験において、TECENTRIQ群はOSを達成しなかったが、副次評価項目である奏効期間中央値は、化学療法群の7.4か月(95%CI:6.1か月-10.3か月)に対し、TECENTRIQ群は21.7か月(95%CI:13.0か月-21.7か月)。また、データカットオフ時点において奏効が持続していた患者は、化学療法群で21%であったのに対し、TECENTRIQ群は63%の患者に奏効の持続が認められたという。なお、IMvigor210試験のコホート1では、全集団におけるTECENTRIQのOS中央値は15.9か月(95%CI:10.4か月-NE)だった。
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