1,744名の妊婦を対象に調査
愛媛大学は9月22日、妊娠中の「健康型」および「日本型」食事摂取パターンが妊娠中うつ症状と予防的な関連があることをアジアで初めて明らかにしたと発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科疫学・予防医学講座の三宅吉博教授らの研究グループが、国立保健医療科学院、東京大学、琉球大学と共同で行ったもの。研究成果は学術誌「Journal of Affective Disorders」に掲載されている。
画像はリリースより
研究グループは、先行研究により、魚介類、ヨーグルト、海藻、大豆、魚介類由来n-3系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンD、イソフラボンおよびマンガン摂取と、妊娠中うつ症状との予防的な関連を明らかにしていた。
今回、研究グループは、「九州・沖縄母子保健研究」のベースライン調査に参加した1,744名の妊婦を対象に、妊娠中の食事摂取パターンと妊娠中うつ症状との関連を調査。Center for Epidemiologic Studies Depression Scale(CES-D)の16点以上をうつ症状有りと定義し、年齢、妊娠週、居住地域、子数、家族構成、うつ既往、うつ家族歴、喫煙、受動喫煙、職業、家計の年収、教育歴、BMIを交絡因子として補正した。
「健康型」「日本型」に妊娠中のうつ症状との予防的関連
結果、妊娠中うつ症状の有症率は19.2%。33食品群から因子分析により「健康型」「日本型」「西洋型」の3タイプの食品摂取パターンが導き出された。「健康型」は、野菜、きのこ類、豆類、海藻、いも類、魚介類、みそ汁、砂糖類の摂取が多く、菓子類、パン類の摂取が少ないもの。「日本型」は、米、みそ汁の摂取が多く、コーヒー、乳製品、砂糖類、菓子類、パン類の摂取が少ないもの。「西洋型」は、肉類、植物油脂類、卵、調味料の摂取が多く、パン類の摂取が少ないもの。
各食事パターンの度合いを4等分して解析すると、「健康型」食事摂取パターンの度合いの最も低い群と比較して、2番目、3番目、4番目いずれの群でも有意に妊娠中うつ症状の有症率が低下していた。「日本型」食事摂取パターンでは、3番目と4番目の群で有意に妊娠中うつ症状有症率の低下と有意な関連を認めた。「西洋型」食事摂取パターンとは関連がなかったとしている。
研究グループは、「『健康型』及び『日本型』食事摂取パターンは妊娠中うつ症状に予防的なのかもしれません」と述べている。
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・愛媛大学 プレスリリース