1日1回経口投与のJAK阻害剤
米イーライリリー・アンド・カンパニーと米インサイト・コーポレーションは9月20日、中等症から重症のアトピー性皮膚炎患者を対象としたバリシチニブの第2相試験で、同剤と中力価ステロイド外用薬の併用群が、プラセボ(ステロイド外用薬併用)群と比較して、アトピー性皮膚炎の徴候および症状を有意に改善したと発表した。この結果は、スイスのジュネーブで開催されたEuropean Academy of Dermatology and Venereology(EADV)の年次総会において口頭発表された。
バリシチニブは、1日1回経口投与のJAK阻害剤。今回、結果が発表された第2相試験では、中等症から重症のアトピー性皮膚炎の患者を対象に、バリシチニブの安全性および有効性を16週間の無作為化二重盲検プラセボ対照第2相試験で評価した。同試験では、124名の患者をプラセボ群またはバリシチニブ2mgもしくは4mgを1日1回投与する群に4:3:3の割合で無作為に割り付け。無作為化前の4週間及び試験期間を通じて、全例に添付文書の記載および治療担当医師の指示に基づきトリアムシノロン0.1%クリームを基礎療法として投与した。
同試験の主要目的は、EASI-50(EASIスコアの50%以上の改善を達成した患者の割合)の改善。また、SCORAD(SCORing Atopic Dermatitis)スコアおよびEASI総スコアのベースラインからの変化の割合についても群間比較を実施し、来院日ごとに評価した患者報告アウトカム(PRO)には、DLQI、Itch NRS、POEMを用いた。
16週時点でのEASI-50達成、バリシチニブ併用群で61%、プラセボ群で37%
その結果、投与開始後16週時点で、EASI-50を達成した患者の割合は、バリシチニブ4mgとステロイド外用薬の併用群(38例)では61%、プラセボ(ステロイド外用薬併用)群(49例)では37%だった(p<0.05)。また、同剤2mgとステロイド外用薬の併用群(37例)では、EASI-50を達成した患者の割合は57%であり、プラセボ群と比較して、統計学的に有意な群間差を示さなかったという(p=0.065)。4週時点でEASI-50を達成した患者の割合は、同剤4mgとステロイド外用薬の併用群では68%、同剤2mgとステロイド外用薬の併用群では62%であったのに対し、ステロイド外用薬単剤投与群では16%だったという(p<0.001)。
これらの結果に基づき、イーライリリーはアトピー性皮膚炎を対象とした第3相臨床プログラムを2017年内に開始する予定。バリシチニブはこれまでに、2017年2月に欧州連合、2017年7月には日本で、関節リウマチを適応とした製造販売承認を取得。2017年4月には、米国食品医薬品局(FDA)が、同剤の新薬承認申請に対して、コンプリートレスポンスレターを発行している。また、アトピー性皮膚炎および全身性エリテマトーデスを対象として開発中でもあり、関節症性乾癬を対象とした第3相臨床試験の開始が、2018年に予定されている。
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・日本イーライリリー株式会社 プレスリリース