人口10万対の年齢調整罹患率は、男女計361.9
国立がん研究センターがん対策情報センターは9月20日、「地域がん登録」データを活用し、2013年に新たにがんと診断された罹患数・率として算出した全国推計値を公表した。このデータの発表は、国がんを中心とする厚生労働科学研究費補助金「全国がん登録、院内がん登録および既存がん統計情報の活用によるがんおよびがん診療動向把握に関する包括的研究」研究班らによるもので、データは冊子に編集された。
画像はリリースより
この集計データは、2013年の1年間にがんと診断された症例の全国推計値。結果は、男性49万8,720、女性36万3,732、男女計86万2,452で、2012年の男女計86万5,238よりやや減少した。また、人口10万対の年齢調整罹患率は、男性436.1、女性307.8、男女計361.9で、2012年の男女計365.6より、3.7減少した。部位別に罹患数を見ると、男性は胃、肺、大腸、前立腺、肝の順で多く、女性は乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で多かったという。
全都道府県データが県間比較可能な精度に
地域がん登録は、都道府県のがん対策を目的に1950年代より一部の県で開始。研究グループが各地域がん登録からデータを収集しており、参加都道府県が年々増加していた。今回のデータ公表では、2012年に引き続いて47全ての都道府県のデータが揃ったという。全国推計値は、国際精度基準を達成した都道府県のデータを用い、人口ベースで日本全体のがん罹患推計を算出したもので、2003年より集計を開始し、今回で11回目。前回に引き続き、全都道府県の実測値が揃ったことから、これまで通りの全国推計値を算出するとともに、47都道府県を合計した実測値も算出された。
今回、全都道府県が国内精度基準を満たしたことから、全県のデータが高精度で活用できること、高精度地域の罹患数を死亡統計によって補正した推計値ではなく、本来あるべき実測値が採用可能であることも確認できたという。また、今回の推計・集計値は、「全国がん登録方式」でのデータ処理方法に移行したことで、より真の罹患数に近いと想定され、今後は国際比較が可能になるとしている。
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・国立がん研究センター プレスリリース