再発寛解型多発性硬化症の日本人における有効性と安全性を確認
バイオジェン・ジャパン株式会社は9月19日、再発寛解型多発性硬化症の日本人における「テクフィデラ(R)」(一般名:フマル酸ジメチル)と、「タイサブリ(R)」(一般名:ナタリズマブ)の有効性と安全性を確認する新データを発表した。これらのデータは、京都で開催された第13回世界神経学会議(WCN)で発表された。
テクフィデラは、多発性硬化症(MS)で最も多くみられる病態である再発寛解型MSなど再発型MSに対する経口治療薬。バイオジェンは同剤を2017年2月に日本で発売した。
タイサブリは、疾患修飾薬(DMT)のひとつで、米国、EU、カナダなど80か国以上で承認。2014年以来、日本でも使用されており、唯一の標的型で有効性の高いMS治療薬として10年以上の世界における臨床経験を有している。
先行試験と一致した成績を報告
今回解析結果が発表されたAPEX試験は、東アジアおよび東欧の再発寛解型MS患者を対象に、テクフィデラのプラセボを対照とした24週間の二重盲検比較試験。この試験に登録された患者の約半数(114/225)は日本からの参加者だった。
試験の結果、テクフィデラはプラセボと比較して、24週間の試験期間において年間再発率(ARR)を48%と有意に減少(95%CI [7.4-71.2])。さらに8週時点より再発のリスクが低下(0.44, 95%CI [0.23, 0.87])。また、MRIの新規のガドリニウム(Gd+)造影病巣数を78%、T2強調病変数の平均を63%減らした(いずれもp<0.0001)。さらに他のデータによって、テクフィデラの好ましい有効性と安全性のプロファイルが確認されているという。
また同社は、日本におけるタイサブリの承認条件として、実臨床下での安全性ならびに有効性を確認する目的で、使用患者全例を登録する観察期間2年間の使用成績調査を2014年6月の発売より実施しており、調査開始から20か月のタイミングで中間解析を行った。国内第2相試験からの継続患者、市販後の新規患者にて評価を行った結果、実臨床下で観察された同剤の安全性と有効性は、これまでの国内および海外の臨床試験や海外の観察研究で示された結果と同様だったという。タイサブリの未使用患者は、ARRがベースラインから78.3%(p<0.001)低下、国内第2相から治療を継続していた患者においては、ARRは維持されていたという。
さらに、タイサブリとフィンゴリモドの有効性を比較するREVEAL試験も実施。同試験は、再発寛解型MS患者における無作為化・プロスペクティブ・直接比較の第4相試験で、MRI上の活動性の比較を目的としている。試験の結果、24週時点において、タイサブリによる治療を受けた患者では、フィンゴリモドによる治療を受けた患者に比べて、新たなT1-Gd+造影病変の蓄積が有意に低い割合を示した(p=0.004)としている。
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・バイオジェン・ジャパン株式会社 プレスリリース