東海・北陸エリアで調剤薬局を運営する連結子会社のシー・アール・メディカル(本社名古屋市)の社員(薬剤師、元取締役)が、東海エリア内の店舗で薬局長であった時期に近隣の医院を受診しており、別の従業員も同院を受診していた。その後、異動になったその従業員が「なかなか医療機関へ行けない」とのことから、「自分が行くついでに処方箋をもらってきてあげよう」ということから始まった。そして、同様に「忙しい」などの理由で受診できないという他の従業員からも頼まれるケースが出てきたという。
2016年2月頃から約1年間に、本部および一部薬局店舗の従業員10人とその家族3人の計13人(うち薬剤師2人含む)から、花粉症の抗アレルギー剤や点鼻薬、保湿剤、鎮痛剤、目薬、漢方薬などをもらってきてほしいとの要望を受け、代理で受診をし、医師にこれらの症状を伝え(一部は従業員と電話で医師とやりとりをした上で)処方箋を発行してもらい、同社の薬局で医薬品を受け取っていた。診察料や調剤の代金は、代理受診となった社員が一時立て替えた上で、従業員らが支払っていた。
シー・アール・メディカルでは、こうして交付された処方箋(累計で80枚)にかかる調剤報酬(総額約36万円)の保険請求を取り下げる手続きを行っている。また、メディシスでは同件が発覚後、グループ全社に事実調査を行い、同様の事例がないことが確認されたが、今後も精査を行っていく。なお、関係した主要な社員の社内処分は速やかに実施したという。
メディシスの田中義寛取締役専務執行役員は「不適切な事案が子会社で発生したことは、親会社である当社の管理監督責任であり、また医療保険制度への信頼を揺るがしかねない行為でもあると、非常に重く受け止めている。こうした事態が再び繰り返されないよう、徹底した再発防止策を策定すると共に、役職員の法令順守の徹底を図り、信頼回復に努めていく」とすると共に、「今後一層、薬局の医療連携が重要になる中、介護も含めた医療に関する法令についての理解を徹底するためにも、グループ内の研修を強化していきたい」とした。