化学療法と比較した非盲検無作為化第3相臨床試験
米Merck社は9月10日、抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ)について、プラチナ製剤併用化学療法による治療中または治療後に疾患進行した局所進行性または転移性の尿路上皮がん(大部分が膀胱がん)患者対象の第3相臨床試験KEYNOTE-045の最新結果を公表した。このデータは、スペイン・マドリードで開催された2017年ESMO年次総会で発表された。
KEYNOTE-045試験は、プラチナ製剤併用化学療法による治療中または治療後に疾患進行した局所進行性または転移性の尿路上皮がん患者対象に、キイトルーダと治験責任医師が選択する化学療法(パクリタキセル、ドセタキセル、ビンフルニン)とを比較した非盲検無作為化第3相臨床試験。事前に計画された中間解析で、化学療法に対しキイトルーダで有意な全生存期間(OS)延長が認められたことから、試験は早期に中断された(フォローアップ期間の中央値は14.1か月)。有効性は、542例の全患者およびPD-L1陽性患者(CPS≧10%)(キイトルーダ群:270例中74例、化学療法群:272例中90例)で評価した。
主要評価項目は、OSおよびRECIST v1.1 に基づいて盲検下独立判定機関(BICR)が判定した無増悪生存期間(PFS)。主な副次評価項目は、BICRがRECIST 1.1 に基づいて判定した奏効率(ORR)、奏効期間、安全性だった。有効性は、全患者およびPD-L1発現患者で評価した。
全患者において死亡リスク30%低下
今回、ESMOで発表された試験の結果には、4か月の追加フォローアップ期間(データカットオフ日:2017年5月19日、フォローアップ期間の中央値:22.5か月)が含まれ、二次治療でPD-L1発現にかかわらず化学療法と比較してキイトルーダでOSの延長が引き続き認められた。全患者において、死亡リスクはキイトルーダ群で30%低下し(HR,0.70[95%CI, 0.57-0.86],p=0.0003)、OSの中央値はキイトルーダ群で10.3か月(95%CI, 8.0-12.3)、化学療法群で7.4か月(95%CI, 6.3-8.3)だった。18か月OS率はキイトルーダ群で33.2%、化学療法群で19.7%。PD-L1発現別のOS解析では、死亡リスクはキイトルーダ群のPD-L1陽性患者(CPS≧10%)で42%低下し(HR,0.58[95%CI,0.39-0.86],p=0.0029)、OSの中央値はキイトルーダ群で8.0か月(95%CI, 5.0-12.3)、化学療法群で5.2か月(95%CI,4.2-7.5)、18か月OS率はキイトルーダ群で30.0%、化学療法群で16.9%だった。
これまでに報告されているとおり、両治療群の全患者でPFSに有意な差異は認められなかった(HR,0.96[95%CI,0.79-1.16],p=0.32)。PFSの中央値はキイトルーダ群で2.1か月(95%CI, 2.0-2.2)、化学療法群で3.3か月(95%CI,2.4-3.5)だった。18か月PFS率はキイトルーダ群で15.3%、化学療法群で4.8%。PD-L1発現の認められた患者(CPS≧10%)のPFSの中央値はキイトルーダ群で2.1か月(95%CI, 1.9-2.1)、化学療法群で3.2か月(95% CI,2.2-3.5)。18か月PFS率はキイトルーダ群で16.3%、化学療法群で5.3%だった(HR, 0.93[95%CI,0.65-1.33],p=0.32)。
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