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DEPDC5、HCP5、PNPLA-3遺伝子に肝がん発症との相関認められず-大阪市大

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2017年09月22日 AM11:30

4遺伝子のうち「」のみ肝がん発症と相関

大阪市立大学は9月20日、肝がんとの相関関係が報告されていた4つの遺伝子「MICA」「」「」「」の中で、MICA遺伝子以外に相関関係が認められなかったと発表した。この研究は、同大大学院医学研究科肝胆膵病態内科学の田守昭博病院教授らによるもの。同一集団を対象に4つの遺伝子を解析したのは世界初だという。研究成果は、「Scientific Reports」に掲載された。


画像はリリースより

肝がんの約60~70%は、C型肝炎ウイルス()感染が原因とされている。HCV感染後、ウイルスが排除されずに感染が持続すると肝硬変に至り、肝がんリスクが増大するが、このプロセスには患者の遺伝的背景も関与しているとの見解があった。これまでにもいくつかの遺伝子多型解析の結果が報告され、MICA、DEPDC5、HCP5、PNPLA-3等の遺伝子多型により肝がんのリスクが高くなることが示されている。しかし、どの遺伝子多型が最も肝がんのリスクが高いのかはよくわかっておらず、同一患者集団対象に4つの遺伝子を解析する研究が求められていた。

C型慢性肝疾患例1,355例対象に解析

研究グループは、同大医学部附属病院へ通院したC型慢性肝疾患例1,355例(257例、非がん例1,098例)を対象にMICA、DEPDC5、HCP5、PNPLA-3の4つの遺伝子多型と、肝がんとの関係を解析。その結果、MICAマイナー多型では非肝がん例10%に対し、肝がん例では19%を占め、非発がん例より有意に高頻度であることが判明した。一方で、他の遺伝子多型には肝がんとの相関関係が認められなかったという。

肝がん例と非発がん例について臨床背景(年齢・血小板数)を一致させた解析では、70歳以上の高齢者・進行肝線維化慢性肝炎の目安とされる血小板数10~15万のグループで、肝がん例に占めるMICAマイナー型が有意に高頻度であることが明らかになった。高齢C型肝疾患例および肝硬変に至る前の進行肝線維化慢性肝炎例では、MICA多型と肝がんに相関関係があり、肝がん高危険群を設定する上で臨床的に有用と考えられるという。

また、MICAは主要組織適合抗原のひとつであり、がん発症やウイルス感染時に抗原提示を行うことで、拒絶反応を行う働きをすることで知られている。研究グループは、HCV感染患者の血清中のMICAタンパク量と肝がん組織中のMICA mRNAの発現を検討。その結果、MICAマイナー型では、がん細胞・血清ともにMICAの発現が低下していることがわかった。このことから、MICAマイナー型による自然免疫応答がC型肝がんの発症あるいは進行を助長している可能性が推測できるという。

研究グループは今後、MICAを用いた肝がん危険群の設定や治療介入などの臨床応用を検討している。危険群を設定することで、HCV感染患者の血液からリスクを把握し、MICAタンパク量を増加させるといった手法で、肝がんの発症を防止することが期待できるという。さらに、HCV排除後の肝発がんとMICAとの関係についても研究を進める予定だとしている。

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