コントロール不良の持続型喘息患者が対象のピボタル第3相試験
仏サノフィ社と米Regeneron社は9月11日、コントロール不良の持続型喘息患者を対象とした「dupilumab」(デュピルマブ)のピボタル第3相「LIBERTY ASTHMA QUEST試験」で、2つの主要評価項目を達成したことを発表した。試験の詳細な結果は、今後学会にて発表する予定。
ピボタル第3相QUEST試験では、世界各地の413施設から成人患者1,795名、12歳以上の思春期患者107名の計1,902名の患者が参加。患者群は、初回投与量400mg、その後200mgを隔週投与した群、初回投与量600mg、その後300mgを隔週投与した群と、2つのプラセボ群の計4群とし、実薬群とプラセボ群の比を2:1として無作為化した。主要評価項目は、投与52週時点での重度増悪イベントの年間発現率と、投与12週時点での気管支拡張薬投与前の1秒量(FEV1)のベースラインからの変化量(100~200mLを臨床上意義ある変化とみなした)。
試験計画で規定した主要解析では、これらの評価項目について患者全体、好酸球数が150個/μL以上の患者、および好酸球数が300個/μL以上の患者について解析。試験参加者のうち、好酸球数が300個/μL以上の患者は約50%、150個/μL以上の患者は約70%を占めた。好酸球数が高い患者ほど喘息のコントロールが不良で、増悪の発生頻度が高いと考えられているが、この傾向は試験のプラセボ群でも認められたという。
2017年中にFDAに対して生物学的製剤追加承認申請予定
同試験で標準治療にdupilumabを追加投与した結果、重度の喘息発作(増悪)回数の減少、肺機能の改善を認めた。投与52週時点の重度の喘息発作の減少率は、dupilumab 300mg群全体では46%、好酸球数が150個/μL以上の患者群では60%、好酸球数が300個/μL以上の患者群では67%だったという(いずれもプラセボ群と比較してp<0.001)。投与12週時点における肺機能は、FEV1のベースラインからの変化量をdupilumab 300mg群とプラセボ群との差として検討。その結果、dupilumab 300mg群全体では130mL(9%)、好酸球数が150個/μL以上の患者では210mL(11%)、好酸球数が300個/μL以上の患者では240mL(18%)の改善を認めたという(いずれもp<0.001)。
喘息の増悪回数とFEV1に対する効果は、dupilumab 200mg群と300mg群でほぼ同等だったという。症状の改善は、好酸球数やその他のアレルギー関連マーカー、またアトピー関連の症状と相関があり、好酸球数が150個/μL未満の患者では効果が減弱する結果となっている。有害事象、死亡、感染症、結膜炎、ヘルペスおよび投与中止例の発現率は、dupilumab群とプラセボ群で同等だった。注射部位反応は、dupilumab群が17%、プラセボ群が8%と、dupilumab群に多く認められたという。
両社は今後、2017年中にFDAに対して生物学的製剤追加承認申請(sBLA)を行う予定。なお、FDAは2017年3月に、dupilumabを外用療法では十分なコントロールが行えない中等症から重症のアトピー性皮膚炎の治療薬として承認している。
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・サノフィ株式会社 プレスリリース