心血管系リスクを有する2型糖尿病対象3b/4試験
英アストラゼネカ社は9月14日、 2型糖尿病患者対象のEXSCEL試験の全試験結果を明らかにし、GLP-1受容体作動薬「ビデュリオン」(一般名:エキセナチド)が心血管リスク全般を増加させず、心血管系イベントに対する安全性を示したと発表した。この結果は、第53回欧州糖尿病学会(EASD)年次集会で発表され、「ニューイングランドジャーナルオブメディシン」のオンラインで掲載された。
EXSCEL試験は、第3b/4相二重盲検プラセボ対照国際共同心血管アウトカム試験。複数の心血管リスク要因や心血管イベントの既往歴の有無に関わらず、35か国で1万4,500例の2型糖尿病患者対象に実施した。全症例の73%の患者には、少なくとも1回の心血管イベントの既往歴があり、27%には既往歴がなかった。患者は、皮下注射によるエキセナチド週1回2mg投与群、もしくはマッチングプラセボ群に1対1の割合で無作為化された。
エキセナチド群の総死亡率は14%低い結果に
試験の結果、週1回投与のエキセナチドは、プラセボとの比較で、心血管死・非致死的心筋梗塞もしくは非致死的脳卒中の複合評価項目MACEの発現率の上昇を示さなかった(ハザード比:0.91;95%信頼区間:0.83-1.00;p<0.001非劣性)。
また、有効性の主要評価項目であったMACEの軽減については、統計上の有意差にわずかに届かなかったものの(p=0.061)、エキセナチド群での心血管イベントの発生は、プラセボ群と比べて少数だった(839[11.4%]vs.905[12.2%])。同試験の心血管アウトカムの傾向は、近年発表されたGLP-1受容体作動薬クラスのアウトカム試験の結果と一貫性がみられたとしている。
さらに、事前に規定した二次解析では、エキセナチド群における総死亡率は14%低いことが示された(ハザード比:0.86;95%信頼区間:0.77-0.97)。
MACEの複数の感度分析、すなわち異なる変数の影響をみるために仮定を変えてMACEの再算出を行った結果は、一次解析結果と一致していたという。EXSCEL試験期間中に安全性の問題は起こらず、安全性データはエキセナチドの既知の安全性プロファイルと一貫したものだった。とくに、2型糖尿病患者によくみられる微小血管合併症で、深刻な視覚障害や失明の原因となる網膜症には不均衡はなかったとしている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース