厚生労働省は13日、2015年度「国民医療費の概況」を公表した。医療機関などで保険診療の対象となる治療にかかった費用の総額は42兆3644億円となり、前年度から1兆5573億円(3.8%)と大きな伸びを見せた。医療の高度化やC型肝炎治療薬など高額薬剤の影響による薬局調剤費の伸びが9.6%の7兆9831億円と過去最高となったことが影響した。人口1人当たりの国民医療費は3.8%増の33万3300円で、いずれも9年連続の増加となった。
国民医療費の総額を年齢階級別に見ると、0~14歳は2兆5327億円、15~44歳は5兆3231億円、45~64歳は9兆3810億円、65歳以上は25兆1276億円で、65歳以上の医療費が全体の59.3%と約6割を占めた。
1人当たりの国民医療費を年齢階級別に見たところでは、65歳未満は18万4900円(前年度比3.0%増)、65歳以上は74万1900円と2.4%の伸びを見せた。そのうち、医科診療の医療費はそれぞれ12万5100円、54万2700円、薬局調剤医療費は3万5500円と13万8000円だった。
診療種類別では、医科診療の医療費が30兆0461億円(2.7%増)。そのうち、入院医療費は15兆5752億円(2.0%増)、入院外医療費は14兆4709億円(3.5%増)となった。歯科は2兆8294億円(1.4%増)、薬局調剤医療費は高額薬剤の影響により、前年度比9.6%増の7兆9831億円と大きく伸長。国民医療費全体に占める割合も18.8%と約2割に迫った。
医科診療の医療費を主傷病による傷病分類別に見ると、循環器系の疾患が5兆9818億円と最も多く、次いで新生物が4兆1257億円と昨年度と同様の傾向で、これらの医療費で全体の約3割を占めた。
制度区分別では、「公費負担医療給付分」が3兆1498億円(3.6%増)、「医療保険等給付分」が19兆8284億円(3.7%増)、「後期高齢者医療給付分」が14兆0255億円(4.7%増)、「患者等負担分」が5兆2042億円(2.7%増)となっている。