遠隔服薬指導をめぐっては、政府が国家戦略特区内など、一定の条件下でのみ可能としていたが、今回の会合では特区に限定する方針は示されていない。内閣府の担当者によると、遠隔服薬指導、医薬品の配送に関する方法など、具体的な内容については、「医療・介護ワーキンググループで検討する」という。
この日の会議で、政府が実現を目指す「Society5.0」の構築を目的に、2018年6月に予定している答申の取りまとめまでに改革を進めるべき重要事項として、ICTを全面的に活用した医療の実現を挙げた。
Society5.0は、年齢、性別、地域などによる格差がなく、多様なニーズにきめ細かく対応したモノやサービスを提供できる社会を示し、遠隔服薬指導、遠隔診療およびこれに伴う医薬品の配送などを含むトータルな遠隔医療の実現を進めるもの。
遠隔服薬指導をめぐっては、政府の日本再興戦略で、遠隔医療のニーズに対応するため、薬剤師による対面での服薬指導義務の特例として、医療資源が乏しい離島、へき地の居住者で、遠隔診療を受けたものの、対面での服薬指導ができない場合に限って、テレビ電話による服薬指導を、国家戦略特区内で実証的に行えるよう、法的措置を講じることとしていた。ただ、今回の会合では、特区内に限定するといった趣旨の説明はなかった。
同会議の大田弘子議長は、「オンライン診療でデータを蓄積することで治療の精度を上げられ、AIを活用することで医療の質を上げられる」と述べた上で、「Society5.0が政府の成長戦略の中心に掲げられたことを機に、国民が医療サービス提供の発想を変え、存分に技術進歩の恩恵を受けられるように規制改革を進める」と述べた。委員からは、「Society5.0に向けた医療の実現は非常に重要。AI、ICTを活用することで、予防の強化、オーダーメイド医療が実現できるので、重視して取り組むべき」などの意見が上がった。