社会保障審議会医療保険部会は6日、2018年度診療報酬改定の基本方針策定に向けた検討をスタートさせた。改定の視点に、地域包括ケアシステムの推進や質の高い医療の実現、医療従事者の負担軽減などを例示。多職種連携による取り組み強化や質の高い在宅医療の確保、かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理の評価、対物業務と門前・敷地内薬局の評価の適正化などについて、具体的に基本方針を検討していく。
この日の部会で厚労省は、これまでの診療報酬改定で示されてきた視点の考え方をもとに、▽地域包括ケアシステムの推進と医療機能の分化・強化、連携に関する視点▽新しいニーズにも対応できる安心・安全で質の高い医療を実現・充実する視点▽医療従事者の負担を軽減し、働き方改革を推進する視点▽効率化・適正化を通じて制度の安定性・持続可能性を高める視点を提示。18年度改定でも四つの視点を継承する方針を了承した。
具体的な検討に向け、地域包括ケアシステム推進のための多職種連携による取り組み強化、質の高い在宅医療の確保、医療介護連携を打ち出すと共に、かかりつけ薬剤師・薬局による薬学管理、在宅医療への貢献度による評価を行う一方、対物業務や門前・敷地内薬局の評価を適正化する方向性を示した。
自由討議で薬剤師代表の森昌平委員(日本薬剤師会副会長)は、「地域包括ケアシステムの中でしっかり機能するためにも、かかりつけ薬剤師・薬局の推進を図ることが重要。医薬品の一元的管理を行い、個別最適化した調剤を実施し、患者の医療安全確保と医療保険財政への貢献に取り組んでいきたい」とかかりつけ薬剤師・薬局のさらなる推進を強調。
一方で、「最近、医療機関の敷地内に薬局を設置する、かかりつけ薬剤師・薬局と真逆の動きが進んでいる」と指摘。「いわゆる敷地内薬局は、通常の保険薬局と明らかに異なり、かかりつけ機能を果たせるとは思えない。そうした薬局はそれに見合った評価をすべき」と要望した。