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小児がん「神経芽腫」のがん化機構の一端解明-名大

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2017年09月11日 PM01:00

10万人に2.5~5人が発症する小児がん

名古屋大学は9月7日、神経芽腫のがん化初期の細胞を捉え、そのがん化にエピゲノム異常が関わっているという、がん化機構の一端を解明する研究結果を発表した。この研究は、同大大学院医学系研究科分子生物学の坪田庄真研究員と門松健治教授らの研究グループによるもの。研究成果は、米国がん学会誌「Cancer Research」のオンライン速報版で公開されている。


画像はリリースより

神経芽腫は、10万人中2.5~5人に発症する小児がんのひとつ。患者の 90%が10歳未満に発症し、診断時の中央年齢は18か月だが、発症年齢が高いほど予後が悪いという特徴がある。日本国内の統計によると2014 年に162名(20歳未満)の患者が登録されている。高リスク神経芽腫は化学療法や分化治療、免疫療法などの治療が適用された場合でも、5年生存率は50%で、改善の必要性がある。

一般的に成人がんの発症は、遺伝的要因や環境要因、組織幹細胞の細胞増殖に伴うDNA複製エラーなどによる遺伝子変異が主な原因と考えられる。一方で、小児がんの神経芽腫は、体が作られる発生期に起こるため、がん化と正常発生の細胞分化プログラムが密接に関連していると考えられていた。しかし、 DNAの点変異など説明可能な遺伝子異常が少なく、その発がん機構は未解明な部分が多いのが現状だ。

PRC2をターゲットにした新たな分子標的薬の開発に期待

今回、研究グループでは、神経芽腫モデルのTH-MYCNマウスを用い、その組織から、がん化した細胞を選択的に培養できる新規な細胞培養法を確立、がん化初期の細胞を捉えることに成功した。この培養法で得られたがん化初期の細胞を対象に網羅的な遺伝子発現解析・エピゲノム解析をしたところ、エピゲノム制御分子のひとつであるポリコーム抑制複合体2(PRC2)が発がんに関与していることを初めて明らかにしたという。

また、約500例の神経芽腫患者から集められた遺伝子発現データを解析。その結果、PRC2によって制御されるターゲット遺伝子の発現が、神経芽腫の悪性度と著しく相関していることが判明した。

今回の研究により、神経芽腫の発がん機構の一端が明らかになった。今後、PRC2をターゲットにした分子標的薬の開発が期待される。

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