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がん細胞代謝活性のリアルタイム測定手法を確立-東北大

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2017年09月08日 PM01:15

特徴的な代謝を持つがん細胞

東北大学は9月6日、がん細胞の代謝活性を測定する新たな手法を確立し、環境因子の変動などによる代謝の変化をリアルタイムにモニターする手法の確立に成功したと発表した。この研究は、同大大学院歯学研究科口腔生化学分野の高橋信博教授、鷲尾純平講師および同研究科顎顔面口腔外科学分野の森島浩允歯科医師らの研究グループによるもの。研究成果は「Scientific Reports」に掲載されている。


画像はリリースより

がん細胞は、特徴的な代謝を持ち、グルコースから酸を産生し、がん組織の周辺環境を酸性にすることが知られている。しかし、これまでがん細胞の代謝をリアルタイムにモニターする方法は確立されておらず、がん細胞代謝に対する環境pHの影響についてもよくわかっていなかった。

」を用いて、代謝活性をリアルタイムにモニター

研究グループは、口腔扁平上皮がん細胞および正常細胞の全ての細胞が、グルコース・グルタミン・グルタミン酸を代謝基質として利用し、酸を産生していることを明らかにした。また、酸の産生を「pH statシステム」で測定することで、代謝活性をリアルタイムにモニターできることもわかったという。pH statシステムは、細胞による酸産生に伴いpHが低下する反応液中に、自動的にアルカリ溶液を注入し、設定したpHに維持させる機器。アルカリ溶液の注入量をモニターすることで、細胞の酸産生量の継時的測定(酸産生活性)のモニターが可能となる。3種の基質の中では、全ての細胞でグルコースからの酸産生活性が最も高く、pH低下に伴い酸産生活性の低下がみられた。さらに、いずれの細胞もグルタミンからアンモニアの産生が確認されたという。

研究グループは、今回確立した手法について、一般の細胞代謝研究にも応用できる上、環境pHを自在に一定に保持できることから、代謝に対するpHの影響の検討にも応用可能だと述べている。また、これまでに、がん細胞の代謝酵素を標的とした多くの阻害薬が抗がん剤として研究されてきたが、その効果は増殖能などで評価することが多かった。今回確立したシステムは、薬剤の持つ代謝抑制能を直接的に評価しうるものと考えられ、新規薬剤の開発や、既存の抗がん剤のより効果的な使用法の確立など、がん治療の発展にも寄与することが期待されるとしている。

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