岐阜薬科大学は7日、寄附講座「地域医療薬学」を開設した。地域包括ケアシステムにおける在宅医療等で活躍できる薬剤師を養成し、地域医療に貢献するのが狙い。期間は5年間。ドラッグストアチェーンのウエルシア薬局が総額5000万円を寄附する。
地域医療薬学寄附講座は、2021年3月31日まで約5年間設置し、ウエルシア薬局が毎年1000万円を寄附する。
特任教授には、ウエルシア薬局執行役員調剤在宅本部在宅推進部長を務める小原道子氏が就任。特任講師、特任助教にもウエルシア薬局から1人が就き、岐阜薬大からは実践社会薬学講座の林秀樹准教授を中心に3人の教員が兼務する。
団塊世代が75歳以上となる25年まで高齢者人口は増加の一途をたどるとされ、住み慣れた地域で市民が暮らし続けられる地域包括ケアシステムの構築が進められている。
こうした状況を踏まえ、新たに設置する寄附講座では、在宅医療や災害時医療における薬剤師業務、薬物療法の最適化に向けた地域連携、健康サポート薬局に関する教育を行う。また、附属薬局の患者を対象に在宅での薬物療法を支援したり、かかりつけ薬剤師・薬局、セルフメディケーションを進めることで、地域包括ケアシステムで活躍できる薬剤師の養成を目指す。
具体的に教育面では、モバイルファーマシーを活用した災害支援に必要な知識と技術に関する教育を行ったり、過疎地域で活動する薬剤師のための在宅医療技術研修を実施するほか、フィジカルアセスメント、検体測定やトリアージに関する研修を行う。
また研究面では、災害医療における薬事支援を効果的に実施するためのシステムを構築し、検証を行うほか、在宅医療における薬剤師の活動が患者のQOLに及ぼす効果やOTC販売における課題を検証する研究を行う。地域の多施設連携に関する研究も進めていく予定にしている。