がん細胞を特異的に認識し、殺傷することが期待されるCAR-T細胞
武田薬品工業株式会社とノイルイミューン・バイオテック株式会社は9月4日、次世代型キメラ抗原受容体発現T細胞(CAR-T)療法に関する提携契約を締結したと発表した。同契約により、武田薬品とノイルイミューンは、幅広い種類のがんの治療に向け、この技術を活用した新たなCAR-T細胞免疫療法の研究開発を行う予定。
ノイルイミューンは、国立がん研究センターおよび山口大学発ベンチャーで、山口大学・玉田耕治教授の開発した次世代CAR-T細胞を中心としたがん免疫療法に特化して、日本発の画期的ながん免疫治療薬の開発を目指す企業。次世代型CAR-T細胞療法技術は、ノイルイミューンが独占的に権利を有する基盤技術で、サイトカイン、ケモカイン等を産生する機構を有しており、がん治療の効果を高めるため固形がん組織の微小環境に影響をあたえる、または変化させることが期待されている。
CAR-T細胞は、がん細胞表面抗原を認識する一本鎖抗体とT細胞の活性化を誘導する分子の細胞内シグナル伝達領域を融合させたキメラ抗原受容体(Chimeric Antigen Receptor: CAR)をT細胞に遺伝子導入し作成。したがって、CAR-T細胞は、がん細胞を特異的に認識し、活性化・増殖してがん細胞を殺傷するという。
武田薬品の湘南研究所にて、両社の研究員がともに活動
武田薬品とノイルイミューンは、今回の提携のもと、CAR-T細胞免疫療法の研究開発を加速するための共同研究を実施。武田薬品は、同共同研究の実施に必要なリソースの提供に加え、ノイルイミューンへの技術アクセス料の支払い、株式投資を行う。また武田薬品は、同提携により共同研究される複数のパイプラインに加え、ノイルイミューンの一部パイプラインの開発および販売権を独占的に獲得するオプション権を有する。さらなる契約の詳細については開示していない。
なお、ノイルイミューンの研究チームは、最先端の研究施設である武田薬品の湘南研究所において活動を予定しており、革新的な細胞免疫療法の開発を加速させるため武田薬品の研究員とともに活動していくとしている。
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・武田薬品工業株式会社 ニュースリリース