厚生労働省は1日、高齢者の多剤服用(ポリファーマシー)を是正するための「高齢者医薬品適正使用ガイドライン」作成に向けた作業部会の初会合を開いた。ガイドラインについては、まずポリファーマシー対策に関する包括的なガイドラインをまとめた上で、専門領域別や領域横断的な病院機能別のガイドラインを検討していく2段階の作成案を了承した。2017年度末をメドに包括的なガイドラインを作った上で、さらに調査と分析を加え、2018年度末に専門領域別、領域横断的な詳細なガイドラインをまとめる。
厚労省は、ガイドラインの作成に当たって必要な新たな調査分析に時間と費用がかかる一方、関連学会のガイドラインで既に一定のコンセンサスが得られたものがあることから、2段階に分けてガイドラインを作成する案を示した。
具体的には、17年度末をメドにポリファーマシー対策に関する普遍的な考え方を盛り込んだ包括的なガイドラインを作成。その後、さらに必要な調査分析を実施した上で、18年度末までに専門領域別もしくは領域横断的な病院機能別のガイドラインを作成する。
この日の初会合では、ガイドラインをめぐって構成員から意見が相次いだ。桑田美代子構成員(青梅慶友病院看護部)は「処方・調剤された薬剤について、患者が服用した効果を実際に見るのは看護、介護に携わる人」と指摘。「薬剤の効能・効果だけでなく、非薬物療法であるケアに関する効果も記載する必要があるのではないか」とした。
高瀬義昌構成員(日本在宅医学会)も、「地域包括ケアシステムの現場を意識し、かかりつけ医、看護職、介護職が使いやすいものであってほしい」とした上で、「ガイドラインの前提となる、現場に合わせてカスタマイズできるポリファーマシーに対する行動規範やアクションプランのようなものがあるといい」と述べた。
また、秋下雅弘主査(日本老年医学会副理事長)は、「急性期、慢性期、在宅、一般外来の患者で期待するものが異なり、医療提供者は副作用の出方、薬効などを求めている。可能ならば、包括的なガイドラインの中で分けて考え方を提示できれば」とした。
作業部会では、12月に行われる次回会合でガイドラインの骨子案をまとめる予定。その後、同月に開催予定の高齢者医薬品適正使用検討会に報告する予定。