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カナキヌマブ、P3試験で心血管イベントリスクを15%低下-スイス・ノバルティス

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2017年09月06日 PM01:15

心筋梗塞の既往がある炎症性アテローム性動脈硬化症患者が対象

スイスのノバルティスは8月27日、心筋梗塞の既往があり、炎症マーカーの高感度C反応性タンパク(hsCRP)値が2mg/L以上の炎症性アテローム性動脈硬化症患者対象に、ACZ885(一般名:)を3か月に1回投与した第3相CANTOS試験の主要データを発表した。この試験結果は、欧州心臓病学会(ESC)年次学術集会で発表され、「The New England Journal of Medicine」にも掲載された。また、同試験で認められた肺がんに関する詳細についても同学会で発表され、同時に「Lancet」にも掲載されている。

CANTOS試験は、心筋梗塞の既往がありhsCRPが2mg/L以上の患者10,061例における心血管イベントの再発抑制について、標準治療に加えてACZ885を3か月に1回皮下投与した時の有効性、安全性、および忍容性を検討する無作為化・二重盲検・プラセボ対照・event-driven第3相試験。同試験では、異なる3用量のACZ885とプラセボを評価。主要評価項目は、主要な心血管イベント(MACE:、非致死性心筋梗塞および非致死性脳卒中からなる複合エンドポイント)の初回発現までの時間。追跡期間の中央値は3.7年で、試験期間は約6年だったという。

hsCRPが中央値以下となったサブグループでは、MACE発現の相対リスクが27%低下

試験の結果、ACZ885群ではプラセボ群と比較して、MACEのリスクを統計的に有意に15%低下させた(p値0.021)。この効果は治験期間を通じて持続しており、事前に定義した主な患者背景別のサブグループでも一貫した結果がみられた。ACZ885 150mg群で主要目的を達成し、300mg群でも同様の効果が認められたが、50mg群では有効性がやや低いことが示されたという。

このMACEに対する効果は、心筋梗塞の再発に対する24%の相対リスク低下が関与しており、心血管死の発生リスクは、有意差はなかったが10%低下。また、hsCRPが中央値以下となったサブグループの患者では、MACE発現の相対リスクが27%低下したとのこと。

また、ACZ885 150mg投与の結果、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、心血管死、および予定外の血行再建術を要する不安定狭心症による入院からなる複合エンドポイント発生の相対的リスクが17%低下した(p<0.005)。複合エンドポイントのひとつである予定外の血行再建術を要する不安定狭心症による入院の相対的リスクが36%低下(p<0.021)。探索的評価項目の冠血行再建術の相対的リスクが32%低下したという(p<0.001)。

副次評価項目のひとつである全死亡までの時間は、ACZ885 150mg群で8%の低下となり、統計学的有意な差ではなかった。他の主な副次評価項目である糖尿病の新規発症についてはプラセボ群と同等だったという。

さらに、事前に規定された盲検化での悪性腫瘍に関する安全性評価では、ACZ885 300mgを投与された患者で、プラセボ群に比べて肺がんによる死亡率を77%、肺がんの発症率を67%低下させたという。

同社は、同試験結果について規制当局と協議を進め、心血管イベントに関する承認申請を予定している。

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