ウコンに含まれるクルクミンの生体内代謝物に着目
京都大学は9月1日、ウコンに含まれるクルクミンの生体内代謝物に着目し、安全性の高い水溶性プロドラッグ型クルクミン「CMG」の開発に成功したと発表した。この研究は、同大学の掛谷秀昭大学院薬学研究科教授、金井雅史大学院医学研究科特定准教授らの研究グループと、株式会社セラバイオファーマらの研究グループによるもの。研究成果は、日本薬学会誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin」にオンライン掲載された。
画像はリリースより
クルクミンには、さまざまな生理作用が報告されており、がん、心臓病、アルツハイマー等に関する基礎研究・臨床研究が行われている。しかし、クルクミン原末をそのまま摂取しても多くは腸管で吸収されないため、血液には移行せず肝臓を含む各種臓器での顕著な効果は期待できない。クルクミンのバイオアベイラビリティーの向上のために、誘導体開発研究およびドラッグデリバリーシステム開発研究などが行われているが、有効な薬剤および手法は開発されていない。
顕著な抗がん活性をマウスで示す
研究グループは、クルクミンの生体内代謝物解析の結果などから、クルクミンモノグルクロニド(CMG)がクルクミンのプロドラッグとして利用できることを発見。化学合成したクルクミンモノグルクロニドをラットに静脈投与した際に、これまでのクルクミン原体などの経口投与と比較して、クルクミンが極めて高い血中濃度を示すことが判明した。さらに、クルクミンモノグルクロニドは、ヒト結腸腺がんHCT116細胞を移植したマウスモデルで、体重減少や肝障害などを伴うことなく、顕著な抗がん活性を示すこともわかったという。
CMGは、経口吸収性が非常に低いクルクミン原末の問題点を克服し、抗がん剤などとしての実用化が期待される、と研究グループは述べている。
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・京都大学 研究成果