分析は、医薬分業の背景にある外来投薬に係る技術料の費用構造を明らかにし、調剤技術料、薬局・薬剤師のあり方を検証するために行った。データとして、主に厚生労働省の「社会医療診療行為別統計(調査)」や、「医師、歯科医師、薬剤師調査」などを用いた。
報告書では、調剤医療費が2001~15年の間で2.4倍に増加した背景について、「医科および調剤報酬の双方への技術料の加配により、70%程度まで上昇した医薬分業の進展がある」と説明。
その上で、「医薬分業を促進したインセンティブは技術料」とし、外来薬剤費1000円当たりの技術料について、院内処方時は137円なのに対し、院外処方時には3.3倍の447円に上るとの分析結果を示し、「こうした高い技術料に見合うサービスが患者に提供されているのか否か、技術料の水準の妥当性が説明されるべき」とした。
報告書では、調剤報酬体系のインセンティブ構造についても分析している。薬局の収益を決める調剤報酬の支払い方法は、「より多くの受付処方箋枚数と調剤数量の処理にインセンティブを有する」と指摘。調剤料についても、「内服薬の投薬日数の増加で膨張する構造になっている」と指摘した。分業の進展に伴う院外処方の増加を背景とし、「外来投薬に係る技術料は医科報酬分、調剤報酬分のいずれも増加してきた」としたが、近年は、処方箋発行枚数の増加率の鈍化もあり、「技術料は横ばい」と分析した。薬局の規模拡大は「収益増につながる」とし、「病院周辺に薬局が林立する門前薬局」の問題にも言及した。
16年度診療報酬改定では大型門前薬局の報酬を適正化するため、処方箋の集中割合などによって、調剤基本料を減額する措置を講じたが、調剤基本料2(25点)、調剤基本料3(20点)が適用された薬局は「10%に過ぎず、実効性に乏しい」との分析結果を示し、「減額は利用者メリットとなり、集中を一層促す矛盾を抱えている」と指摘した。
一方、医薬分業の急速な進展により、「薬剤師数は増加傾向にあり、特に薬局薬剤師数が増加している」としたが、人口密度が低い地域では、保険薬局に占める常勤薬剤師1人薬局の比率が高く、「かかりつけ薬局・薬剤師」を推進するためには工夫が必要と指摘。「立地過多の都市部では薬局の集約化、希薄な地域では連携が進むよう、地域社会・医療環境の特性に応じた調剤報酬を検討することも一案」とした。