臨床研究法における認定審査委員会は、研究計画を審査して実施の可否を判断し、疾病や実施状況の報告を受けて意見を述べるなど、重要な役割を果たすことになる。設置要件には、一般の立場の人など5人以上からなる委員構成、研究領域の専門家と生物統計家の技術専門委員、事務局体制として4人を配置することが求められた。
開催要件としては1カ月に1回以上開催し、特定の医療機関に偏らず平等に受け付けるとし、委員が審査対象の研究実施者と過去に共同研究をしていたり、被験薬の製薬企業などから資金提供を受けていた場合、審議や意見決定への参加を制限する利益相反管理ルールを設けるとした。
山口育子委員(NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長)は、倫理審査委員会がディオバン事件を防げなかったことを挙げ、「これまで多くの審査委員会が問題となってきた経緯がある。今回の認定審査委員会は、それ以上にしっかりとしたものを求めていかなければならない」と強調。そのためには「事務局体制が大きなカギになる」とし、認定審査委員会が機能していることのチェック体制を質した。厚労省医政局研究開発振興課の森光敬子課長は「審査の議事内容を広く公開することで質を担保したい」との考えを示した。
藤原康弘委員(国立がん研究センター中央病院副院長)は「理想を追求するのであれば、欧州を参考に委員となる一般の立場の人を育成する仕組みを作ってから議論すべき。審査結果もいつまでに出すと明確にしてもらわないと現場は困る」と述べ、実効性を考慮した制度設計を求めた。
国忠聡委員(日本製薬工業協会医薬品評価委員会委員長)も「認定審査委員会は法の肝だと思う」とした上で、「4人の事務局体制など、非常に大きな負荷がかかるのではないか」と実現性に疑問を呈した。
厚労省の森光課長は「まさに法の実効性は認定審査委員会の質にかかっている」と応じ、審査委員会の認定事業を通じた臨床研究中核病院の要件化などを列挙。「一定の質を確保した認定審査委員会で審査してもらわなければ、法律の意味がない」と質の担保を重視する姿勢を強調した。
■財団経由の資金提供も-特定臨床研究に規定
また、特定臨床研究の範囲についても明確化した。研究資金を提供する医薬品製造販売業者と厚労省令に定める特殊関係者を「子会社」と明記。労務提供、物品提供のみの場合は研究資金の提供に当たらないとした。さらに、財団経由の資金提供に関して、製薬企業から財団を経由して間接的に研究者に提供した場合も、特定臨床研究に含まれるとの見解を示した。これまであいまいだった財団経由の資金提供による臨床研究も法規制の対象になる。
厚労省は、財団経由の資金提供による臨床研究も法規制の対象にし、透明化することで「野放しにはしない」との姿勢だ。