血小板活性を阻害するP2Y12受容体阻害剤
英アストラゼネカは8月24日、第3相PEGASUS-TIMI 54試験の新たなサブ解析結果として、アテローム血栓性イベントの再発リスクが高く低用量アスピリンで治療中の患者において、ブリリンタ(R)錠(一般名:チカグレロル)60mgの1日2回投与が、プラセボ投与との比較で、心血管死のリスクを29%減少したことを示したと発表した。このデータの詳細は、スペイン・バルセロナで開催される欧州心臓病学会(ESC)において発表される予定。
ブリリンタは、シクロペンチルトリアゾロピリミジン群(CPTPs)に分類される、P2Y12受容体に直接作用するP2Y12受容体阻害剤。血小板活性を阻害することで効果を発揮し、急性冠症候群(ACS)患者において心筋梗塞あるいは心血管死を含むアテローム血栓性心血管イベントの発生率を減少させることが示されている。
総死亡リスクも20%減少
今回のサブ解析の対象は、心筋梗塞の発症から2年以内、あるいはアデノシン二リン酸(ADP)阻害剤による抗血小板治療を中止してから1年以内に同剤を投与された患者。解析結果によると、同剤60mgの1日2回投与が、プラセボ投与と比較して、心血管死のリスクを29%減少(p=0.0041)し、総死亡リスクを20%減少、心血管死、心筋梗塞あるいは脳梗塞の複合リスクを20%減少することも示されたという。なお、重度の出血発症率は、同剤の既知の安全性プロファイルと同様だったとしている。
今回の結果では、イベント後12か月という標準的な治療期間よりも長期間、同剤60mgを投与することで、心血管イベント抑制に対するベネフィットが示された。PEGASUS-TIMI54試験の運営委員会のメンバーであるMikael Dellborg氏(ヨーテボリ大学心臓病学教授)は、「心血管イベント再発リスクを減少する適切な長期治療を受けているのはその半数以下であることが知られているため、この新たな知見によって従来の治療法が変わっていく可能性があります」と述べている。
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・アストラゼネカ株式会社 プレスリリース