■医薬品産業の育成に意欲
加藤勝信厚生労働相は28日、専門紙記者団との就任会見で、医薬品産業の育成に言及。「新薬が提供されることは国民にとって大きなポイント」とし、「国民の医療ニーズに対応すること、経済成長にプラスに寄与することの2点を念頭にしっかり取り組んでいきたい」との考えを述べた。医療・介護の提供体制を一体的に進める地域包括ケアシステムの構築に向けては、「(2018年度診療報酬・介護報酬)同時改定の中で、地域包括ケアシステムをより進めていくという視点に立ち、われわれが議論をリードしていきたい」と意欲を示した。
加藤厚労相は、診療報酬・介護報酬の同時改定を控えた18年度予算編成に臨むに当たって、「骨太方針に示されている社会保障関係費の自然増を3年間で1兆5000億円に抑えるという目標に取り組んでいきたい」と方針を強調した上で、「限りある財源の中、高齢化で多様化する医療、介護ニーズに対応しつつ、効率的・効果的な施策を通じて、社会保障制度を次の世代に引き継いでいけるような持続可能なものにしていく。そういう姿勢で年末に向け取り組んでいきたい」との姿勢を示した。
医薬品産業の育成については、「特に新薬が提供されることは国民にとって大きなポイント。日本の製薬企業に積極的に取り組んでもらうことが、国民の医療ニーズに応えることにつながる」との考えを強調する一方、「医薬品産業は、経済成長の中核を担う高付加価値産業と位置づけられている。その育成に力を入れることによって、国民の医療ニーズに対応すること、経済成長のプラスに寄与すること、この2点を念頭に取り組んでいきたい」と述べた。
また、国内製薬企業について「これまで長期収載品に依存していた」とし、より高い創薬力を持つ産業構造に転換していく必要性を指摘。日本医療研究開発機構(AMED)などを通じて基礎研究の成果を製品につなげたり、それを支えるベンチャー企業を支援していく中で、特に革新的な医薬品のさらなる実用化を目指す方向性を示した。
医療保険制度の持続に向けては、「いかに国民の健康寿命を延ばしていくか」と問題意識を示し、「健康で長生きできることは、単に財政的な面だけでなく、国民の幸福度を高めることになる。それをしっかり進めていくことは医療費の適正化にもつながる」とし、「データヘルス計画に沿った取り組みや糖尿病重症化予防の好事例の横展開を進めることで、より効率的な医療の展開を図っていきたい」と述べた。