三叉神経系に発現する5-HT1F受容体に選択的に働く化合物
米イーライリリー・アンド・カンパニーは8月4日、片頭痛の急性期治療用経口治験薬「Lasmiditan」の2つ目の第3相試験「SPARTAN試験」で、主要評価項目を達成したことを発表した。
Lasmiditanは、同社が片頭痛急性期治療用に開発を進めている治験薬。三叉神経系に発現する5-HT1F受容体に選択的に働き、一部の片頭痛治療薬で見られるような血管収縮作用を伴わずに、片頭痛に関連する受容体に作用するようデザインされている。
SPARTAN試験は、片頭痛の急性期治療のために経口投与した3用量(50mg、100mg、200mg)での、同剤の安全性および有効性をプラセボと比較して評価する無作為化二重盲検プラセボ対照グローバル試験。この試験に参加するには、中等度以上の片頭痛による生活への支障「頭痛患者の生活支障度スコア(MIDAS)11以上」を有することが必要。参加した患者には、ベースライン時点で月に平均5回を超える片頭痛発作があった。なお、心血管リスクファクターが1つ以上または既知の冠動脈疾患を有する患者は除外しなかった。
2018年下期、FDAに新薬承認を申請予定
同試験の主要評価項目では、同剤200mg群とプラセボ群において初回投与から2時間後に頭痛が消失した患者の割合を比較。副次評価項目では、同剤200mg群とプラセボ群において初回投与から2時間後にMBS(悪心、音過敏または光過敏)が消失した患者の割合を比較した。
その結果、Lasmiditanの初回投与から2時間後にすべての用量群で、片頭痛が消失していた患者の割合がプラセボ群と比較して統計学的に有意に高く、50mg群では28.6%(p=0.003)、100mg群では31.4%(p=<0.001)、200mg群では38.8%(p=<0.001)、プラセボ群では21.3%だった。また、初回投与から2時間後に片頭痛に関連するMBSを伴わない患者の割合も、Lasmiditanの投与を受けた患者はプラセボ群と比較して統計学的に有意に高く、50mg群では40.8%(p=0.009)、100mg群では44.2%(p=<0.001)、200mg群では48.7%(p =<0.001)、プラセボ群では33.5%だった。なお、この試験では、患者が悪心、音過敏または光過敏から自分のMBSを選択したという。
今回の試験によって、片頭痛の痛み軽減および片頭痛による生活への支障度などを含む追加副次評価項目についても、プラセボ群と比較して統計学的有意に改善したことが示された。この試験結果は、片頭痛の急性期治療に対する同剤の1つめのピボタル第3相試験、SAMURAI試験と一致。同社はこれらの結果をもとに、2018年下期に米国食品医薬品局(FDA)に、同剤の新薬承認申請(NDA)を提出する予定としている。
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